企業の新卒採用動向に関する調査結果
株式会社ベネッセi-キャリアが実施した『企業の新卒採用動向に関する調査 2025』は、新卒採用に対する企業の認識や施策の実態を明らかにするために行われました。この調査は、2025年の採用に向けて企業の採用担当者を対象に、2023年6月16日から27日の期間に行われ、823社からの回答を得ました。
1. 採用手法の多様化
調査結果によると、新卒採用において最も多く採用されている手法は「一括採用」で、53.3%がこの方法を選択しています。次いで「通年採用」が27.5%、そして「職種別・コース別採用」が16.5%となっています。これらのデータから、企業は新卒採用において手法の多様化を図っていることが見て取れます。
また、企業が特に力を入れたい施策として「大学との連携」が20.9%でトップに立ち、「自社広報」が20.2%で続きます。興味深いのは、大学との連携に取り組んでいる企業が全体の50.6%に達しており、従業員規模が大きいほどその傾向が顕著であることです。
2. 選考基準とそのギャップ
採用時において企業が重視するポイントの中で最も多かったのは「人柄や性格」で59.5%を占めました。次いで「自社への熱意」が43.5%、そして「汎用的スキル」が42.6%となっています。しかし、採用時に求める水準と実際の採用学生の水準に最も大きなギャップが現れたのは「汎用的スキル」で、14.3%の差があることが判明しました。これは、今後の採用活動において大学側でも改善策を講じる必要があることを示しています。
3. 大学との認識の一致
企業がインターンシップ等のプログラムの選考開始時期を3年生の4月から5月に設定していることは、大学側の希望とも一致しています。大学では53.4%が同じ時期に就職活動をスタートしてほしいと考えており、両者の認識が一致していることが確認されました。さらに、「企業の選考情報の提供」や「合同説明会の開催」など、大学に期待される支援策が高いことも示されています。
4. 企業と大学の対話の重要性
今回の調査結果から、企業の選考基準として「人柄や性格」、「自社への熱意」、そして「汎用的スキル」がいずれも重要視されていることが分かります。特に汎用的スキルについては、企業が求めている水準と実際の実力とのギャップを埋めるために、大学側での教育施策が求められています。業界との連携を強化し、学生が社会で活躍するためのスキルを習得する機会を提供することが重要です。
まとめ
企業の新卒採用において、選考基準の見直しや新しい手法の導入が進んでいる一方で、大学との連携や汎用的スキルの育成が課題となっています。学生は早期からキャリア意識を持つことが求められ、大学はその支援を図る必要があるでしょう。この調査をもとに、今後の新卒採用活動における企業と教育機関がどのように連携していくかが、双方にとっての鍵となるはずです。