株式会社帝国データバンクが行った調査によると、2025年1月時点で正社員の人手不足を感じる企業が53.4%に達し、これはコロナ禍以降で最も深刻な状況です。非正社員の不足感も30.6%と高止まりしています。このデータからは、日本の労働市場が如何に逼迫しているかが明示されています。
この傾向は特に「情報サービス」業界で顕著で、72.5%の企業が正社員不足を感じています。これはシステムエンジニアが不足しているためで、業界の競争が激化している現実が反映されています。その一方で、建設業も70.4%と高い数字を記録し、特に若手職人の不足が問題視されています。
また、対応が遅れているのが中小企業です。大企業の給料が上昇する中、中小企業は賃上げを行う余力が無く、人材難に拍車がかかっています。調査結果によると、業種別の非正社員の状況も「人材派遣・紹介」が65.3%と最も高く、人手不足が深刻化しています。
企業の賃上げ計画についても言及がされ、73.1%の企業が来年度の賃上げを見込んでいると報告されています。しかし、これまで賃金の実質上昇は乏しく、特に中小企業は賃金上昇において後れを取っています。
コロナ禍を経て業績が回復した大企業が高い初任給を提示するなか、その潮流に中小企業がどう対応していくかが問われる状況です。
最近の調査では、人手不足の企業が68.1%が賃上げを予定している一方、全体で61.9%となっています。これは過去数年間で初めて、コロナ禍前の賃上げの見込みを上回る状況です。
その反面、こうした賃上げの背後には原材料やエネルギーコストの高騰が横たわっており、実際に賃上げを行うことが難しい企業も多く存在していると考えられます。このような背景から、企業の賃金構造や人材確保の方法について各々が真剣に向き合う必要があります。
人手不足に対処するためには、賃上げが不可欠である一方で、企業の健全な成長を維持するためのコスト管理や、生産性向上も同様に重要と言えます。特に中小企業はこの難局をどう乗り越えるかが、今後の企業の運命を大きく左右するでしょう。