スズキの新次元EV「e VITARA」のデジタル体験とは
2025年9月17日、フィンランドのエスポーでQt Groupは、スズキ株式会社の初となるバッテリーEVモデル「e VITARA」にQtフレームワークが使われることを正式に発表しました。このコラボレーションにより、スズキは直感的で視覚的に魅力的なデジタル体験をEV市場にもたらすことが期待されています。
EV市場における技術的な挑戦
現代のEV業界は、高度かつ応答性の高いHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)機能を組み込みハードウェア上で実現するという重要な課題に直面しています。特に、ユーザー体験のシームレスさはハードウェアの性能やコストによって制約を受けることが多く、その対応策が求められるのです。そこで、スズキはこの問題に対処するためにQt Groupが提供するクロスプラットフォームHMIツールを選択しました。
デジタル・コックピットの展開
スズキはQtフレームワークを利用して、インストルメントクラスターやインフォテインメントシステムなどのデジタル・コックピットを展開していく計画です。このアプローチによって、異なる車種やプラットフォームにまたがるすべてのUIコンポーネントを同一のコードベースで設計、テスト、再利用し、開発時間とコストを大幅に削減することが見込まれています。また、プロトタイピングから生産に至るまでの開発プロセスをスムーズに進めることで、スケーラビリティとパフォーマンスの向上を実現します。
さらに、デジタル・コックピットはスズキのブランドに即した独自のユーザー体験を提供できるよう、ルック&フィールを自由にカスタマイズ可能です。デザイナーや開発者は、ドライバーや同乗者のニーズに応じてインタラクティブ要素を調整できるため、より利用者フレンドリーな環境を整えることが可能になっています。
安全基準を考慮した開発
Qtに搭載されるUIコンポーネントは厳格な品質テストを経ており、スズキのHMI開発に信頼性のある基盤を提供します。これにより、自動車業界の厳しい安全基準やコンプライアンス基準を遵守したコックピット・ソリューションの設計と検証がサポートされるのです。
開発戦略の再構築
スズキの四輪電気電子技術本部長である寸田剛司氏は、「Qtを採用することで、異なるプラットフォームに対応するGUIを資産化し、開発コストを最適化することが可能になりました。このプロジェクトは、デザイナーとHMI開発者の役割分担を考え直す良い機会となり、スズキのデジタルクラスター開発にとって大変意義深いものでした」と語っています。
オープンソースの力を活用する
さらに、スズキはオープンソースのAutomotive Grade Linux(AGL)上にコックピット・ソリューションを構築しており、これにより開発者は業界標準の共通プラットフォームを利用してソフトウェアを構築・展開できます。Qt GroupはAGLの主要パートナーとして、このプラットフォームに最適化された高品質のHMI体験の実現に注力しています。
次世代のデジタルコックピットの標準を確立
Qt Groupの製品管理担当副社長、ユハペッカ・ニエミ氏は、「スズキのe VITARAは、我々が自動車メーカーに提供するプレミアムなデジタル体験の一例です。これは車両のユーザー体験を革新し、より多様なユーザーに届けることを目指しています」と述べています。
「e VITARA」を通じて、スズキとQt Groupはスマートでスケーラブル、美しいデザインのデジタル・コックピットの新たな基準を打ち立て、これにより多くのドライバーがプレミアムな体験を享受できる未来を切り拓こうとしています。
Qt Groupについて
Qt Groupは、産業界のリーダーや開発者150万人を超える信頼を集めるグローバルなソフトウェア企業です。UIデザインから導入、品質管理に至るまでの製品開発サイクルを支援しており、世界中で70以上の業界に対応した顧客を持つ企業です。公式ホームページは
こちらです。