若者の自己理解を深める新たなオンラインプログラムの実現
2023年に始まった「シル・ミル・テミル」は、育て上げネットが企画した若者を対象とした自己理解を深めるためのオンラインプログラムです。特に15歳から30歳の若者を対象に、社会とのつながりや新しい経験を通じて自己理解を深めることを目的としています。これは単なる就労支援に留まらず、自己肯定感の向上にも寄与する意義深い取り組みです。
プログラムの責任者である平井奈穂さんは、「若者たちが『何をやりたいのかわからない』と悩んでいる現状を受け、彼らが安心して様々な体験を積める機会を提供したい」と話します。参加者は個別ガイダンスを受けた後、2ヶ月間のプログラムに参加します。
プログラムの概要
「シル・ミル・テミル」は、全体で2ヶ月の構成となっており、初月は自分自身や働くことについて「知る・見る」ことを中心に進められます。アイスブレイクに始まり、心理学の基礎知識や得意・不得意の認識を促すワークが行われます。また、自己理解を深める内容のほか、自身の得意なことを活かし、どのように生計を立てるかを学ぶ小規模なビジネス講座や職業の体験談を聞くセッションも設けられています。この過程を通じて、自分が向いている職業を理解する手助けがなされます。
プログラム後半の「やってみる」ステップでは、自分の興味を基に実際にアクションを起こすことが奨励され、参加者は「イラストを描く」「動画を制作する」など多様な取り組みに挑戦します。1ヶ月目の講座を受けた参加者は、「自分でもこんなことができるのか」と自信を深める声を寄せています。
課題と解決策
平井さんがこのプログラムを企画した背景には、多くの若者が「経験そのものに乏しい」という課題があります。経験が不足しているため、自分がどのような人間で何が得意なのかを理解するのが難しいのです。そこで、シル・ミル・テミルが誕生しました。
「実際に経験を積むことで、若者たちが自分の強みや向いている業務を見つけるための手助けをしたい」と平井さんは続けます。そのためにオンラインプログラムを採用し、参加者が自宅から通いやすい環境を整えています。
企業との協働による波及効果
シル・ミル・テミルは、企業やNPOと連携を強めることで、支援の輪を広げています。2022年には、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループが提供する「JAPAN COMMUNITY IMPACT」に申し込み、無事に支援を得ることができました。この助成プログラムからのサポートを受けたことで、事業計画をより具体的に進めることが可能になりました。
「このプログラムでは、就労を直接のゴールとはしていません」という平井さん。戦略的にインパクトを評価し、受益者である若者達だけでなく、その家族や周囲の人々への波及効果も計測する体制作りに挑んでいます。
さらなる展望
「シル・ミル・テミル」は今後も全国の若者へ支援を広げ、様々な心理的障壁を乗り越えられるように努めていく予定です。具体的には、地方の支援団体と協力し、地域に密着した形での支援を強化していく計画です。
「若者が気軽に参加できるプログラムを提供することで、彼らの自己理解を深め、未来への自信を育む手助けをしたい」との言葉が印象的です。自分を知ること、そして心の充電をする機会が、どんな未来を生み出すのか楽しみでなりません。