神々の島バリの多文化共生がオンラインセミナーで紹介されました

オンラインセミナーで広がるバリの多文化共生

2024年11月28日、公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団（日本GIF）は、聖心女子大学の岩原紘伊講師を招き、オンラインセミナー「神々の島バリの多文化共生：インドネシア国内移民との共存の物語」を開催しました。このセミナーでは、急成長する観光業がもたらしたバリ島の民族的な多様性と、その中で形成された共存の知恵について詳しく解説されました。

バリ島の多文化共生

「神々の島」として名高いバリ島は、独自のヒンズー教文化と発展した観光業の側面を持ち、その特有性から住民は強いアイデンティティを形成しています。しかし、1990年代以降の観光業の急成長により、他地域からの移民が増加し、時には摩擦が生じることも。そんな中でも、バリ人の寛容さと相互扶助の精神によって、移民との共存が築かれてきました。

バリ住民は「バリ人」として、ヒンズー教を信仰し、バリ語を母国語とする人々のことを指します。バリ州では、人口の83%がヒンズー教徒である一方で、他島からやってくる移民たち、特にイスラム教徒が都市部で急増しており、これが宗教的構成の急激な変化を招いています。

プロセスと歴史

岩原講師は、バリ島における経済移民の歴史や文化的背景、そして多文化共生のプロセスについて詳しく説明しました。特に「ニャマ・スラム」と呼ばれるイスラム教徒が、バリの旧王国から正式に土地を付与されてきた経緯について触れ、現在も彼らが特定の居住地を形作っていることを強調しました。

さらに、講師は観光業の成長が環境問題に及ぼす影響や、持続可能な観光の重要性についても言及しました。バリ島の環境NGOが推進する取り組みや、異なる出身や宗教を超えた関係の形成が進んでいることも紹介されました。

未来への視点

セミナーの中で、バリ島における異教徒との共存が日常化している様子や、互いの祝祭日に食べ物を分け合う文化的慣習である「ゲジョット」についても触れられ、「寛容」が法制化された背景に基づく国民文化の進展に寄与していることが語られました。またセミナー後の質疑応答では、参加者からの関心が集まったことも印象深いものでした。

バリの今後の伝統文化の変容や、外部からの提案に対するバリ人の反応がどのようになるのかという質問が出る中、多様な観点からの議論が展開され、バリ島の多文化共生に対する理解が深まる貴重な機会となりました。参加費は無料で、多くの人々から高い関心が寄せられました。

このように、人々が互いの文化を尊重し合い、協力し続けるバリ島の未来に目が離せません。