ベトナムにおけるコメ生産の新たな挑戦
日本とベトナムの、農業の未来を切り拓くプロジェクトが始まっています。株式会社三菱総合研究所と、AGRI SMILE、さらにPANの三社が協力し、気候変動対策や肥料吸収効率化を目指した実証実験が行われています。この取り組みは特に、農業の生産性を保ちながら、環境への影響を抑えた持続可能な方法を模索しようとしているのです。
背景と目的
近年、気候変動の影響は世界中の農業生産に深刻な影響を与えています。特に、急激な天候の変化や異常気象は、作物の生産に大きなリスクをもたらします。日本でも懸念されるこの問題は、ベトナムの農業にも同様に影響を与えており、このままでは持続可能な農業生産が困難になる可能性があります。
このような現状を背景に、三菱総合研究所、AGRI SMILE、PANは連携し、「バイオスティミュラント資材を活用したコメ生産の実証」を進めています。この技術により、低肥料での生産を目指し、肥料価格の高騰や環境への負担を軽減することを目指しています。具体的には、ベトナム北部のフンイエン省で実施されるこの実証実験は、経済産業省の補助金を活用して進められています。
実証内容と役割分担
本実証では、AGRI SMILEが提供するバイオスティミュラント資材が活用され、その効果を評価することが予定されています。この資材は、植物の制御メカニズムを科学的に理解した上で開発されており、農業残渣を原料としているため、廃棄物を資源として有効活用する点が特徴です。
それぞれの役割は次の通りです:
- - AGRI SMILE:バイオスティミュラント資材の提供および技術的アドバイス。
- - PAN:実証試験の管理と運営。現地の流通に関する助言を行う。
- - 三菱総合研究所:関係機関との調整や支援を担当。
この分業により、各社が持つ専門知識を最大限に活用し、効率的な実証試験が実施されます。
今後の展開
2025年秋にはベトナム南部のカントー市でも新たな実証を予定しており、AGRI SMILEのバイオスティミュラント資材の現地流通を進める予定です。このプロジェクトを通じて、日本とベトナムの農業や関連産業の発展に寄与し、地域の活性化を図っていきます。
参考情報
AGRI SMILEは2018年に設立された企業で、東京都千代田区に本社を置いています。持続可能な農業を支援するための研究開発やコンサルティングを手掛けており、かつては廃棄物だったものを資源として利用する取り組みを行っています。一方、PANは1998年設立の農業・水産・食品流通企業で、ベトナム国内における農業分野での存在感を示しています。
このような活動が、今後の農業に新たな希望をもたらすことが期待されます。