2024年版グローバル不動産透明度インデックスが示す主要トレンド
2024年9月5日、不動産サービス大手のJLLとその関連会社であるラサール インベストメント マネージメントが、「2024年版グローバル不動産透明度インデックス」を発表しました。この調査は、世界80ヵ国での市場情報を集め、151都市を対象にしたもので、透明度を数値化しています。
世界市場の透明度向上
今回のインデックスでは、英国内の透明度が引き続き1位を占めており、フランスと米国がそれに続いています。特に、透明度が「高」である国々で、投資市場の流動性が改善しているとのことです。過去2年間で、商業用不動産への投資が1.2兆米ドルを超えるなど、透明性の高い市場が注目を浴びています。
アジア太平洋地域での透明度の改善も見逃せません。特にインドは、デジタル化の進展により透明度が大幅に向上し、「中高」にランクインしました。シンガポールもサステナビリティやデジタルサービスの発展により、透明度の高い市場に入ることができました。
生成AIと透明度の関係
また、生成AIの影響も顕著で、法的文書の解析や物件管理の自動化など、さまざまな分野での透明度向上に寄与しています。しかし、その一方で、新たな規制やコンプライアンスリスクも増加しているため注意が必要です。
サステナビリティの透明度
今回の調査では、特にサステナビリティの分野で改善が見られました。フランスのパリや日本の東京、アメリカのニューヨークが上位にランクインしており、企業の排出量情報や気候変動リスク開示が進む中、今後さらなる向上が期待されます。
日本の透明度の現状
日本は透明度「高」を維持し、11位に位置しています。サブインデックスでは、サステナビリティが特に評価され、2位にランクインしましたが、取引プロセスや市場ファンダメンタルズでは今後の改善が望まれています。今回の調査では、建築環境や気候関連の取り組みが評価されています。
今後の課題
ただし、成功の裏には課題が残っています。特に、不動産取引データや市場ニッチに関する情報開示が不足している点が挙げられます。日本におけるさらなる透明度向上には、これらの情報を充実させる必要があります。
結論
全体的に、2024年版のインデックスは、透明度の向上が進んでいることを示していますが、各国にはまだ多くの改善の余地があります。新興セクターへの投資が進む中で、透明性の高さが今後の投資判断においても重要な要素であることが今後の課題です。この調査は、国際的なベンチマークとしての意義も大きく、透明性の向上がもたらす経済の健全化に寄与することが期待されます。