日本の働き手が望むストレス軽減とキャリア支援の実態
2023年7月に公開されたランスタッド株式会社の「ワークモニター2025パルス調査」によると、日本の働き手は仕事の条件としてエンプロイアビリティ(雇用され続ける能力)を重視しつつ、ストレス軽減を求める傾向が強いことが明らかになりました。この調査では、日本を含む7カ国の労働者5,250名を対象に、彼らが何を重視し、何を妥協できるのかが探られました。
エンプロイアビリティが最優先
調査結果によると、世界全体の67%、日本の66%の労働者がリモートワークよりも自身のエンプロイアビリティを重要視していると回答しています。特に、「エキサイティングな職務よりも、自身のエンプロイアビリティを維持することが重要だ」と感じている日本の労働者は66%に達し、これは調査対象の7カ国の中で最も高い割合です。このことから、グローバル経済の不確実性が続く中で、キャリア形成に必要な能力を高めたいという意識が強いことが示されています。
ストレス軽減を選ぶ日本の働き手
さらに注目すべきは、72%の日本の働き手が高給よりもストレスの少ない仕事を選ぶと答えた点です。これは他の調査対象国と比較しても非常に高い数値であり、世界全体では60%の労働者が給与の増加よりもストレスの軽減を望んでいることが分かります。また、約40%の労働者はすでにストレスを軽減するために給与の低い職務へ転職しており、44%が柔軟性のある給与の少ない職務に就いた経験があると回答しています。特に完全リモートワーカーでは、67%が高給よりもストレスの少なさを選択しています。
自律性と休暇の増加を重視
最近では、オフィスでの勤務に戻る動きが見られますが、労働者は「働く場所」だけでなく「働く時間」の選択肢にもこだわっています。調査によると、日本の62%の労働者が勤務地よりも働く時間を自分で決めたいと考えており、世代別ではミレニアル世代が最も多く60%がその意向を示しています。さらに、39%の労働者がより多くの年次有給休暇を希望し、これもまた高給よりも重要な要素となっています。
職務定着のための重要な要素
調査結果によれば、エンプロイアビリティの向上と働き方の柔軟性は必須条件ですが、これは長期的な職務定着を保証するものではありません。日本の労働者が今後5年間同じ職務に留まる要因には、「インフレと関連する年次昇給(74%)」、「管理職によるキャリア支援(68%)」、「組織との価値観の一致(67%)」が含まれます。40%の日本の労働者は、給与が低くても自身の価値観に沿った意義のある仕事を選んでいると述べています。
企業の対応が求められる
ランスタッドの松永信 本部長は、調査結果は働き手と企業間での新たな関係性の構築を示していると述べています。ストレスの軽減や勤務時間の柔軟性を求める声が高まる中、企業は労働者のエンプロイアビリティの向上を支援しつつ、柔軟な働き方やキャリア支援を重視する姿勢が求められています。これにより、企業は優秀な人材の獲得と長期的な定着を図ることができるでしょう。
まとめ
今回の「ワークモニター2025パルス調査」は、日本の働き手が求めている職場環境や条件を明確に示しました。企業はこれらのニーズに応じて、より良い労働環境の整備を進める必要があるでしょう。今後も、このような調査を通じて労働者の意識を把握し、より良い雇用の実現に向けて企業と労働者が共に努力していくことが大切です。
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