新リース会計基準への対応を巡る企業の意識調査結果

働き方を変革するDXサービスを提供しているSansan株式会社が、2025年4月から始まる新リース会計基準に関する意識調査を実施しました。この調査は、経理と契約管理を担当するそれぞれ600名を対象に行われ、リース取引がどのように影響を受けるのかを探る目的で実施されています。新基準では、ほぼ全てのリース取引を貸借対照表に計上することが義務付けられ、誠実な会計処理が求められます。そのためには、企業が自身のリース契約の適正な把握が必要です。

調査結果の概要

調査の結果、経理部門で新基準について「内容を知っている」とした割合は42.8％に対し、契約管理担当者ではわずか15.5％と大きな差が見られました。この数字は、両者間での理解の差を表しています。調査に参加した経理担当者の57.2％が新基準をまだ知らないという事実も衝撃的です。

また、新基準の適用において、最も時間が取られると思われる作業は、契約がリースに該当するかの識別、契約書の収集、会計処理という結果が出ました。特に契約書の収集は、経理担当者が認識する中で最も手間のかかるものであることが明らかになっています。

経理と契約管理の関係

新リース会計基準の導入に向け、経理が契約内容を確認する際に最も多く利用する方法は「契約管理担当者に内容を確認する」というもので、全体の54.0％を超えています。これは、両部門間の密な連携が今後ますます必要とされることを示しています。これから新基準に基づく対応が進む中で、契約管理担当者への問い合わせ増加が予想されています。

データ化の遅れ

さらに、自社の契約書が全てデータ化されていると回答した契約管理担当者は17.1％にとどまり、約半数の企業はまだデータ化が進んでいないことが明らかになりました。このままでは、紙の契約書の収集作業や、リースかどうかを目視で識別する作業に追われる恐れがあります。

企業の対応策

SansanのContract One Unitのゼネラルマネジャー、尾花政篤氏は、「経理と契約管理担当者の間で新基準に対する理解に差があることが明らかになった」と指摘しています。企業によっては契約書の量が数千件以上になることもあり、対応の困難さが増すと予測しています。これは、契約情報の整理とデータ化、そして関係者間のスムーズなコミュニケーションが必要不可欠であることを意味しています。

Sansan株式会社は、契約データベース「Contract One」を通じて、契約書のデータ化や構造化を手助けし、最近では新機能としてAIによる自動入力も実装しています。また、新リース会計基準に関するセミナーも行い、担当者の理解を促進できるよう努めています。

結論

今後もContract Oneは、新リース会計基準への適切な対応を通じて、ビジネスパーソンが契約を日常的に活用できる環境を提供し、企業の業務効率向上を支援していく方針です。多くの企業がこの新基準に向けて準備を進める中、適切なデータ化や情報共有の重要性が今後ますます高まることでしょう。契約に関連する業務を行う際は、状況を見極め、柔軟に対応していくことが求められます。