ドローン活用の新たな一歩
2025年に開催される大阪・関西万博を舞台に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心としたチームがドローンを活用した新しい運航安全管理システムの実証を行いました。今回の取り組みは、公益事業の観点からも非常に意義深く、今後の大規模イベントや災害時における航空機運航の安全性を高めるものです。
実証の背景
大規模イベントにおいては、有形の有人機と無形の無人機(ドローン)が同時に使用されることが多くなっています。しかし、これまでの警備体制では、それぞれ異なるシステムで管理されていたため、リアルタイムでの情報共有や迅速な対応が難しい状況でした。この問題を解決するために、JAXAは企業や機関と連携し、新たな運航管理システム「DOERシステム」を開発しました。このシステムは、災害や緊急時に対応できるものとして設計されています。
実証の概要
JAXAを含む4社は、大阪・関西万博の開催中に想定される警備状況をリンクさせて、運航調整所という仮想の配置場所を設けました。そこで、有人機と無人機を利用した警備業務を行い、安全性を確認しました。
各社の協力体制
1.
JAXA: システム全体の統括と技術検証を担当。
2.
ウェザーニューズ: 気象情報の収集と分析を通じ、安全運航に寄与。
3.
NTTデータ: 無人機の運航データを統合管理し、システムとも連携。
4.
テラドローン: 無人機の運航制御を担い、必要なデータを提供。
このように役割分担をしっかり行いながら、それぞれの専門性を活かすことで、効率的な運航を可能にしました。
実証の実施期間
実証実験は、2023年10月2日から10月10日にかけて行われ、日常の運航の助けとなるための調整作業に取り組みました。事前に飛行監視を行い、緊急事態が発生した際には迅速に対応できる体制を整えました。これにより、有人機と無人機の両方の協調性が高まることが確認されました。
今後の展望
実証実験の結果、対象となる省庁や自治体からはシステムの有効性に対して好意的な評価が得られました。これを受けてJAXAは、次年度に予定されている災害応急対応実証に向けて、さらなる機能改善に取り組む意向を示しています。また、遠隔地での災害対応や警備への適用拡大を視野に入れた研究開発が進められる予定です。
結論
JAXAと協力する4社の取り組みは、ドローンを活用した新たな運航管理の可能性を示しました。今後、このシステムが実際の運用に組み込まれることで、安全性の向上と効率的な警備活動が実現することが期待されています。また、この技術が引き続き社会実装され、全国規模での運航管理においても有効に活用されることにより、安心してイベントを楽しむことができる未来が訪れるでしょう。