JPYCとアイ・ピー・エスが取り組むデジタル送金の未来
ステーブルコイン事業の基本合意
2023年10月16日、JPYC株式会社と株式会社アイ・ピー・エス(IPS)、およびその子会社InfiniVAN, Inc.は、フィリピンにおけるデジタル送金・決済インフラの基盤構築に向けて、業務提携に関する基本合意書を締結しました。この合意により、フィリピンペソ建てのステーブルコインの発行・流通を共同で進めるほか、既に発行されている日本円建てステーブルコイン『JPYC』のフィリピン市場への展開を目指します。
ステーブルコインの意義
ステーブルコインとは、法定通貨と価値が連動するように設計されたデジタル通貨で、特に送金や決済の手段として期待されています。特に近年、米ドル建てのステーブルコインが急激に市場拡大している中、日本円建てのJPYCは、その透明性と低コストな送金オプションの提供により、国際的なデジタル資産の流通に貢献することが期待されています。
現状の課題と解決へ向けた取り組み
フィリピンでは、2024年に推計される在外フィリピン人労働者からの個人送金額は約400億米ドルにも上るとされています。しかし、現行の送金方法は手数料が高い上、手続きも煩雑であるため、利用者にとって多くの負担となっています。この課題を解決するため、JPYCとIPSは共に、フィリピンにおける新しいデジタル送金の仕組みを構築し、より多くの人々が手軽に、安全に送金できる環境を整備することを目指しています。
インフラ整備と信頼性の確立
IPSグループは、フィリピン国内の通信ネットワーク構築や国際海底ケーブルの建設を手掛けており、地域の社会課題に取り組むことで、信頼性の高いインフラを構築してきました。また、フィリピン中央銀行(BSP)も、FinTechや仮想資産サービスに対応した規制枠組みを整備しており、デジタル通貨の使用が進むための環境が整いつつあります。
JPYCの成長と未来の見通し
JPYC株式会社は、2019年からステーブルコイン関連事業を展開し、2025年には資金決済法に基づく『資金移動業者』として登録予定です。『JPYC』の発行を通じて、国内でのデジタル資産の普及を目指し、その透明性と利便性を強調しながら、地域間の経済的な格差の是正にも寄与したい考えです。
パートナーシップの意義
今回の業務提携を通じて、JPYCおよびIPSは、デジタル通貨の普及を進め、国境を越えた安全で低コストの送金を実現することを目指します。両社の信頼性のある通信キャリアとしての背景と金融分野でのコンプライアンスの強化によって、ユーザーにとってより便利で安心なサービスを提供していくことができるでしょう。
まとめ
フィリピンにおけるデジタル送金の未来へ向けたこのプロジェクトは、今後の金融環境における革新をもたらす可能性を秘めています。JPYCとIPSが連携することで、グローバルに通用する新しい経済圏の構築が期待される中、デジタル通貨の役割とその可能性について引き続き関心が寄せられるでしょう。