冒険の新たな章『地図なき山』
探検家で作家の角幡唯介が、新作ノンフィクション『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』を発表しました。この作品は、彼の代表作である『極夜行』と並ぶ重要な冒険の記録であり、今までの常識を覆す“地図を持たない”登山を描いています。
媒体からの反響
本書は11月20日に発売され、発売直後から登山を愛する人々や、北海道の地元メディアなどで注目を集めました。その結果、わずか2週間で増刷が決定し、最近では朝日新聞や日経新聞、時事通信などの主要なメディアでも書評が紹介されています。そして、このたび3刷が決定したというニュースが、おそらく同書の人気の証明です。
書評の内容
特に注目を集めたのは、月刊誌『波』12月号に掲載された松永K三蔵氏の書評です。彼は本書を、“野放図”な登山の中での探検家の誠実さについて述べ、非常に興味深い視点から評価しています。登山道を外れた挑戦を描いた芥川賞受賞作『バリ山行』に触れ、角幡さんが描く「地図なし登山」の独自の難しさと魅力を伝えています。
日高山脈での冒険
角幡氏は現代の情報過多社会に疑問を持ち、文明からの脱却を試みました。情報に依存する生活にストレスを感じ、「地図を持たずに日高の山を登る」という未踏の試みを選んだのです。この挑戦は、想像以上の心理的圧迫を彼にもたらし、特に高低差70メートルの大滝の前での瞬間的な判断が彼の心に深い傷を残します。
挑戦と成長
困難にぶつかりながらも、著者はその後3年を経て再び日高山脈に挑むことを決意します。この新たな挑戦によって、彼はかつて経験したことのない全く異なる山の表情に出会ったと言います。最初は挫折感に苛まれた彼ですが、次第に探検家としての価値観が大きく変わっていく過程は、読者に強いメッセージを伝えます。
読者へのメッセージ
著者はこの作品を「前代未聞」と表現し、情報が多すぎる世の中で地図を持たずに自然と対峙することで、生の実感や自由を再発見できることを伝えています。この本を通じて、読者は不安と自由、そして矛盾する感情を味わうことができ、その先に待つ新しい視点を得るこことができるでしょう。
まとめ
『地図なき山』は、ただの冒険記ではなく、現代社会へのメッセージが込められた深い作品です。探検家・角幡唯介が体験した数々の試練と成長の物語に、ぜひ触れてみてはいかがでしょうか。冒険の本質、そして本当に意味のある生き方について考えさせられることでしょう。