ファッションブランド「favi mercato」が、植物由来の繊維であるカポックを用いた革新的なダウン製品「New Nature Down」の量産体制を構築しました。この取り組みは、持続可能なファッションへの移行を促進する重要なステップとなります。
背景
近年、環境問題への意識が高まり、アパレル業界でも持続可能な選択肢の重要性が増しています。その中で、favi mercatoは、植物由来の天然素材カポックに注目し、その利用可能性を追求してきました。カポックは、東南アジアに生息する木から得られる天然繊維であり、栽培過程で農薬や化学肥料を使用せずに育成されます。このため、非常に環境に優しい素材とされています。
カポックの特性
カポックの繊維は、その約80%が中空であるため、高い保温性と軽量性を兼ね備えています。過去には日本でも布団や座布団などに広く使用されていましたが、合成繊維の登場により、その需要は減少していました。この新たなアプローチは、カポックの本来の特性を最大限に引き出すことを目的としており、衣服に直接充填することで新しい価値の創造を目指しています。
技術的挑戦
「New Nature Down」の量産には、カポックの特異な繊維特性を考慮した新たな技術開発が不可欠です。従来の機械では、カポックが軽いため、均一な吹き込みが難しいという課題がありました。それに対処するため、favi mercatoは、大阪の繊維商社との協業を通じて、先進的な吹き込み技術を導入しました。その結果、カポックを適切に充填し、安定した品質を実現することに成功しました。
デザインとその影響
更に、カポックを活かすためには、デザイン面でもの創造的なアプローチが必要でした。favi mercatoのデザイナー、満汐国明氏は、カポックの素材特性に応じた独自のデザインを確立しました。従来のダウンジャケットとは異なり、カーディガン感覚で着用できる新しいタイプのアイテムが誕生しました。このような新感覚の製品を通じて、従来のダウンとは異なる軽やかさと温かさを提供することを目指しています。
今後の展望
今後、確立された生産体制を通じて、favi mercatoは、より多くのブランドやメーカーと協力し、カポック素材の利用を拡大する予定です。自社ブランドでの蓄積した知見を活かし、ODM/OEM生産にも本格的に取り組む方針です。これにより、環境配慮型素材であるカポックを使用した製品を提供し、持続可能なファッションの普及に貢献することを目指します。
また、満汐国明氏は、他のブランドと協力することにより、旬の素材であるカポックをより多くの顧客に届けたいと語っています。日本から発信されるサステナブルなアパレルの基準を確立し、国際市場への展開を視野に入れているとのことです。
favi mercato とは?
「favi mercato」は、「旬をまとう」をコンセプトに、シーズンに合った機能性や特徴を備えた素材を使用したクリエイションを展開しており、サステナブルなラグジュアリー路線を目指しています。デザイナーの満汐国明氏は、環境意識の高いファッションを追及し続けており、持続可能な未来に向けた貢献を行っています。