株式会社イトーキの中央研究所が、10年後のオフィス環境とモノづくりに関するビジョンを発表しました。同研究所は、2023年1月に設立された新しい組織であり、専門の人材が集まり、未来のオフィスにおける働き方の変化について深く研究しています。
イトーキ中央研究所の設立背景
働き方が多様化する現代において、オフィス環境の重要性が増しています。従業員のエンゲージメント向上や人材確保を図るためには、オフィスのあり方を見直すことが欠かせません。また、頻繁な移転や改装は、コストや環境に対しても負荷を掛けるため、企業にとっての重要な経営課題として位置づけられています。
現状と課題
中央研究所では、オフィスとモノづくりの最新の現状についても探求しています。多様なオフィス製品が市場に出回る中で、より効率的な生産方法やサステナブルな資材の探索が求められています。そのため、研究所は5つのテーマに焦点を当てています。
5つの研究テーマ
1.
流動的オフィス: 時間や状況に応じて柔軟に変化できるオフィスの作り方。
2.
プラスチックリサイクル: オフィス家具のリサイクルを効率化する技術の探求。
3.
パラメトリックデザイン: コンピューターによる最適デザイン技術の導入。
4.
アディティブマニュファクチャリング: 3Dプリンターを利用してさまざまな形状の製品を製造する技術。
5.
使用状態可視化: IoTを駆使して家具の使用状態を把握する仕組み。
この研究テーマはそれぞれ独立しているわけではなく、全体として循環型のオフィス環境を形成するために統合されています。
具体的な成果
最近では、慶應義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センターと共同で、次世代オフィス家具のプロトタイプモデルが製作されました。このモデルは、特に流動的オフィス向けのワークテーブルとして設計され、軽量化やモノマテリアル化、3Dプリントによる造形といった革新的な特徴があります。
プロトタイプの特徴
- - 軽量化: 従来のテーブルに比べ約50%の軽さ。
- - モノマテリアル化: 天板が全てポリプロピレンで構成されており、分解が容易。
- - 3Dプリンターの活用: エッジと枠を一体形成。
- - デジタルデザイン: コンピューターにより生成された形状。
- - 使用状態の測定: センサーチップによる圧力測定。
イトーキ中央研究所は、2030年の実用化を目指し、持続可能な社会の実現へ向けた技術の確立に向けて研究を続けています。これらの取り組みは、ビジネスにとってだけでなく、社会全体にとっても重要な方向性を示しています。
今後の展望
イトーキは今後も、オフィスづくりにおける課題に向き合い、テクノロジーとデザインを融合させて、新たなユーザー体験を提供し続ける意向です。例えば、3DプリンターやIoT技術を駆使し、より環境に優しいオフィスの設計を進めていくとともに、企業のニーズに応じた柔軟なオフィスソリューションを模索しています。このような革新によって、未来の働き方に対応したオフィス環境が形成されることを期待しています。