スタンレー電気と東京大学の革新的な共同研究
最近、スタンレー電気株式会社は東京大学大学院農学生命科学研究科の研究グループと連携し、赤色レーザーダイオードを利用した植物栽培が従来の発光ダイオード(LED)に比べて成長促進効果を持つことを初めて明らかにしました。この発見は、植物工場や人工光型農業の未来を大きく変える可能性を秘めています。
研究背景と目的
近年、気候変動や農業従事者の減少が進む中、植物工場への期待が高まっています。しかし、エネルギーコストが高いことや生産効率の向上が求められる中で、これらの課題を解決するための新たな技術は急務です。特に、人工光源としてはLEDが普及していますが、より効率的な代替手段が求められています。本研究では、レーザー・光デバイス技術の新たな応用として、赤色レーザーダイオード(LD)の可能性を探ることが目的です。
成果の概要
本研究では、赤色LDの波長660 nmが光合成において最も効率的であることを明確にしました。比較対象として同じ波長の赤色LEDを使用した実験では、赤色LDの使用により、光合成速度が最大約19%向上し、さらに植物の生育(乾燥重量や葉面積)が有意に増加したことが確認されました。
光合成の改善
光合成は植物が二酸化炭素を取り込み、有機物を合成する過程であり、この速度は植物の生育効率を示す重要な指標です。研究チームは、赤色LD照射下において、光合成がより効率的に行われることを発見しました。これは、赤色LDが同等波長の赤色LEDよりもクロロフィルに高精度で一致した単色光を提供できるためです。
生育状況の詳細
さらに、赤色LDの利用により、生育状況や形態変化、さらには水の利用効率も改善されました。特に、12日間の連続照射実験においては、赤色LD照射下の植物は葉の黄化や光阻害といったストレス症状を示さず、逆により良好な成長状態を保つことができました。これは、赤色LDが植物に対して高い耐性を与えることを示しています。
次世代技術としての可能性
これらの要素から、赤色レーザーダイオードが次世代型の植物栽培用光源として非常に有望であることが分かります。現在、スタンレー電気は水産養殖向けの照明技術を手掛けていますが、今後は農業分野への応用拡大も視野に入れています。
今後への展望
スタンレー電気は、1920年に創業以来、特に自動車用の照明技術などで数多くの革新をもたらしています。今後も光の可能性を追求し、農業や食料問題、エネルギー問題の解決に寄与していく所存です。
この研究成果は、農林水産省によって「2025年農業技術10大ニュース」にも選定され、今後の技術開発への期待が高まっています。
参考文献
この研究内容は、学術誌「Frontiers in Plant Science」にも掲載されています。著者には複数の専門家が参加しており、学術的な知見にも基づいた内容となっています。