首都圏の県人寮における深刻な男女間格差: 女子学生受け入れの実態調査
首都圏に県人寮を設置する35自治体のうち、およそ半数が男子学生専用の寮しか設置しておらず、全国の県人寮の約6割が男子学生専用となっています。これは、首都圏の大学進学を目指す女子学生にとって、深刻な男女間格差を生み出していると言えるでしょう。
特定非営利活動法人#YourChoiceProjectは、男子学生専用寮しか持たない17自治体の24舎に対してアンケート調査を実施し、女子学生受け入れに関する議論の進捗状況や受け入れのハードルを明らかにしました。
県人寮とは?
県人寮とは、特定の都道府県出身の学生のみを受け入れる寮のことです。多くは、その道府県の育英会が運営しており、首都圏への進学を経済的にサポートする役割を担っています。
男女間の受け入れキャパシティ格差
全国の県人寮52舎では、男子学生2627名、女子学生689名を受け入れています。男子学生と女子学生では1938名分の受け入れ数の差があり、首都圏の大学進学において、経済的なハードルに大きな差があることがわかります。
女子学生受け入れに関する議論の現状
調査対象となった24舎のうち、女子学生受け入れを検討している寮はわずか2舎のみでした。多くの寮では、資金面や設備面、需要の低さ、セキュリティ面の課題など、様々な理由から受け入れが進んでいない状況です。
女子学生受け入れのハードル
女子学生受け入れが進まない主な理由は以下の通りです。
資金面のハードル: 水回り設備の改修や女性職員の配置など、女子学生受け入れには多額の費用がかかります。
女子学生の需要見込みの薄さ: 一部の寮では、女子学生の需要は低いと考えており、受け入れによる費用対効果が見込めないと考えているようです。
安全面・セキュリティの確保の難しさ: 入室管理や女性職員の配置など、セキュリティ対策を強化する必要があり、そのための費用や体制整備が課題となっています。
改善策
県人寮における男女間格差を解消するためには、以下の対策が必要となります。
国や自治体からの資金援助: 寮の運営母体だけでは資金面が不足するケースが多く見られます。国や自治体からの資金援助を検討することで、女子学生受け入れのための設備改修や人員配置が可能になります。
建て替え以外の選択肢: 建て替えには多額の費用が必要ですが、浴槽の利用時間分けやフロア分けなど、建て替えずに男女共用化を実現できる方法もあります。
住まい支援・奨学事業: 資金面が厳しい女子学生に対して、家賃補助や奨学金制度などを活用することで、経済的なハードルを下げることが重要です。
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女子学生のニーズ調査: 女子学生のニーズをしっかりと把握することで、より効果的な受け入れ体制を構築することができます。
まとめ
本調査から、県人寮における男女間格差が深刻な問題であることが明らかになりました。女子学生の受け入れを進めるには、資金面や設備面、セキュリティ面などの課題を克服する必要があります。国や自治体、大学、そして社会全体で、この問題に取り組み、首都圏への進学を希望するすべての学生が、平等な機会を得られるようにしていくことが重要です。