AI活用が進展中の介護・障害福祉現場での意識調査
2025年、介護・障害福祉の現場における生成AIの活用状況について、株式会社パパゲーノが実施した調査が注目を集めています。この調査は、専門家や従業員の意見を反映し、AI活用のルール整備が従業員満足度に及ぼす影響を明らかにしています。
生成AIの利用状況
調査によれば、介護・障害福祉現場に勤務する184名の回答者のうち、55.4%が週3日以上の頻度で生成AIを活用していることがわかりました。また、個人で無料版のAIを利用している人が44.4%に及び、非常に高い個人情報漏洩リスクが示唆されました。これに対し、職場で明確なAI活用のガイドラインが存在するのはわずか19.8%で、多くの現場で「シャドーAI」と呼ばれる無断使用が懸念されています。
一方、約48.2%の人が利用者の記録や計画書の作成に生成AIを使用した経験があるものの、41.4%の人はその利用について上司に報告している状態です。これは、現場でのAI活用に対する不安が多く、今後のルール整備が急務であることを示しています。
従業員満足度の向上に必要なこと
新たな調査結果として、従業員満足度に関する指標であるeNPSスコアが浮き彫りになりました。特に、人工知能の活用ルール整備が、年収の増加以上に約2.2倍も従業員満足度に寄与することが確認され、AIの導入が単なるコストではなく従業員の幸福度を高める重要な要素になっています。
この結果は、従来の「年収の向上が満足度を左右する」という見方に対する一石を投じるものです。AIの導入が適切に行われることで、業務の効率化だけでなく、従業員同士のコミュニケーションの促進にも寄与していることが伺えます。
現場からの声
今回の調査では、92.9%の回答者が「AIの使い方を学ぶ機会が必要」と感じており、参加意向も88.3%に上りました。生成AIの利用方法や個人情報の保護、利用事例など、多様な学びのニーズが存在します。また、46.2%は「生成AIに依存しすぎることで専門職の判断力が低下する」との懸念を示しており、教育や研修の重要性が改めて強調されています。
まとめと今後の展開
介護・障害福祉現場におけるAI活用は急速に進展していますが、その背景にはリアルな課題も浮かび上がっています。特に、ルールの整備と研修の充実は、従業員満足度向上には欠かせない要素です。AI活用は業務の効率化や質の向上だけでなく、スタッフの安心感にも寄与するものと考えられます。
株式会社パパゲーノでは、こうした現場の声を基に、今後はAIに関する研修や情報セキュリティの強化に取り組んでいく予定です。介護・障害福祉業界におけるAIの正しい導入と利用が進むことで、より充実した支援が可能となることを願っています。これらの調査結果は、業界全体の発展につながる貴重な情報として活用されるべきでしょう。