日立GLSが家庭向け太陽光発電の自家消費促進実験を開始

日立グローバルライフソリューションズの挑戦

日立グローバルライフソリューションズ（以下、日立GLS）と株式会社日立製作所（以下、日立）は、地域全体での脱炭素化を目指して家庭向けの太陽光発電の自家消費促進に関する実証実験を2025年11月から茨城県内で開始することを発表しました。この取り組みは、地域内での再生可能エネルギーの効率的な利用を目的とし、企業や地域住民が協力して地産地消モデルの構築を図るものです。

実証実験の内容

本実証では、日立GLSが推進する「プロダクトのデジタライズドアセット化」に基づき、日立ブランドのエコキュートを設置している家庭から電力センサーを用いて電力の運転状況や消費データを収集します。これにより、家庭のエネルギー利用状況をAIによって分析し、自動的に運転計画を立案・最適化する仕組みを検証します。さらに、昼夜の運転を分割して行うことによる経済的メリットや太陽光発電の自家消費の経済性についても評価される予定です。

本実験は、太陽光発電による電力の家庭内活用を約20%向上させ、電気代の削減や電力系統の安定化にも寄与すると見込まれています。加えて、エコキュートを利用したエネルギー調整によって、CO₂排出の削減に貢献することも目指しています。

地域社会との連携

さらに、日立は日立市と協力し、次世代未来都市の実現へ向けた共創プロジェクトを推進しています。このプロジェクトでは、産学金官が連携することで地域の脱炭素社会を実現することを目指しています。日立GLSの実証結果は、地域モデルに反映され、持続可能なエネルギーエコシステムの構築に寄与することが期待されています。

近年の背景

近年、電気料金の上昇や再生可能エネルギーの普及により、家庭での太陽光発電の自家消費に対するニーズが高まっています。特に、固定価格買い取り制度（FIT）が終了した「卒FIT」家庭においては、余剰電力の有効活用が重要な課題となっています。日立GLSは、エコキュートを利用した熱エネルギーの蓄積がこの課題を解決するための有力な手段であると考えています。

実証実験の概要

- 実施期間: 2025年11月上旬から2026年1月末（予定）
- 対象者: 日立家電メンバーズクラブの会員で、日立ブランドのエコキュートを設置している家庭
- 実施内容:

1. 電力センサーによる家庭の消費電力・発電電力の計測
2. コネクテッド対応エコキュートからの運転データ取得と分析
3. 昼夜分割運転による経済性評価
4. 太陽光発電による自家消費の経済性評価

これにより、家庭の電気代の削減や電力系統の安定化、さらにCO₂排出の削減に貢献することを目指します。また、日立GLSは、実証で得たデータを地域内の他のステークホルダーと連携して活用し、太陽光発電を最大限に利用する仕組みを整えることで、地域経済の活性化にも寄与する方針です。

未来への展望

この実証実験の成果をもとに、日立GLSは地域全体での持続可能な成長に向けた新たなビジネスモデルの構築を目指し、家庭内エネルギー管理や地域との連携を進めることで、環境・幸福・経済の調和が取れた社会の実現を目指しています。今回の取り組みは単なる実証の枠を越えて、未来のエネルギー社会の創造へとつながる重要なステップとなるでしょう。