球体ドローンELIOS 3を活用した下水道点検の新潮流
概要
2025年8月、兵庫県明石市で行われた下水道点検では、スイス・FLYABILITY社の球体ドローン「ELIOS 3」が導入されました。これは国からの緊急点検指示を受けての取り組みであり、今後の下水道インフラ維持に向けた新しい手法の実証が目的です。
背景
日本の社会インフラは、高度成長期に整備されたものが多く、現在その多くが老朽化しています。特に、建設から50年以上経過した下水道設備が増加し、劣化のリスクが高まっています。また、従来の目視や接触による点検が困難な場所も多く、これらの点検を如何に実施するかが大きな課題です。
人が入ることができない空間では、点検が無理なケースも多く、異常を早期に発見し、予防保全を進めるためには、より効率的で安全な技術的対応が求められています。近年では、無人機としてのドローンの活用が注目されています。
検証内容
今回の検証は、波高が高くアクセスが困難なボックスカルバート(内寸3,000×3,000mm)で行われました。従来の人手による点検にはリスクが伴い、硫化水素中毒や酸素欠乏症といった危険性も懸念されます。一方、カメラロボットでも構造上の制限や流下量により、十分な効果が得られないことが多かったため、ドローンによる効率的な点検が期待されました。
FLYABILITYのELIOS 3は、これらの課題に対し、高い安全性と効率性を持つ点検手法として使用されました。
検証結果
検証では、海につながるボックスカルバート内で、干潮時を狙って点検を行いました。水位が下がることで、ドローンが飛行するための空間を確保し、点検対象の全体が確認可能な状態で実施されました。
ELIOS 3は、3回にわたってフライトし、高精細な映像と静止画を取得し、3D点群データも生成。中の状況を詳しく確認することができました。自治体からの評価として、安全な環境での点検が可能となったこと、そしてそれによって詳細な状況把握が現実的に達成できたことが挙げられました。
今後の展望
本検証の成果を踏まえ、ELIOS 3を活用したドローン点検は、下水道インフラの効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に寄与するものと期待されています。今後は、さらなる技術開発や運用検証を進め、実用化への道を模索していく方針です。
また、このような新しい点検方法を導入を検討している自治体や点検事業者への情報提供も積極的に行っていく見込みです。
詳細な情報や問い合わせは、株式会社旭テクノロジーのドローン事業部まで連絡をお願いします。
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