オーダーメードスーツ人気上昇、販売戦略の変化
最近、紳士服業界においてオーダーメードの需要が急増しています。帝国データバンクの調査に基づくと、2024年度における上場紳士服7社のスーツ事業の売上高は3564億円で変わらず、営業利益は177億円と前年から6%の増加を見せました。これは、スーツの販売において量よりも質が重視されるようになった結果とも言えるでしょう。
これらの企業では、青山商事やAOKIホールディングスがオーダースーツやカジュアルウェアの販売を強化し、特に新入学や新入社の需要が好調であるため、業績の改善が見られました。店舗数は2300店前後で若干の減少があったものの、全体的にスーツの販売単価の向上が営業利益を押し上げています。
スーツ販売の現状とトレンド
ここ数年、スーツ市場全体はコロナ禍の影響を受け、従来の店数も減少傾向にありました。特に、コロナ禍以前の2017年度には2997店舗がありましたが、現在は2300店舗へと縮小しています。この背景には、大規模店舗から小規模な都市型店舗への転換や、郊外型店舗の整理などが影響しています。
リモートワークの普及やカジュアルな服装の流行によって、これまでの一定スタイルのスーツ需要は減少していますが、消費者がより品質に重視を置くようになり、オーダーメードスーツが注目を集めています。このせいで、スーツの販売単価が向上し、利益に貢献する結果となっています。
各社の取り組みと成果
業界を代表する青山商事は、自社ブランドのオーダースーツ「Quality Order SHITATE」で明るい結果を見せました。売上は減少傾向にあったものの、営業利益は前年より10%以上増加しました。また、2025年度のメンズスーツの平均販売単価が前年度比で7.3%上昇し、34076円に達する見込みです。
AOKIホールディングスも女性向けの高機能ウェアやビジカジ商品を強化し、ファッション事業を拡大。新たに新入学・新社会人向けの需要を取り込み、増加を果たしました。多様なニーズに応えることが、業績向上に寄与しているようです。
未来展望と課題
業界全体として、2025年度の新入学・入社式需要が高まっており、オーダースーツの認知度が向上しています。しかし、電気代や運送費の高騰、円安による海外からの原材料価格の上昇などの課題も同時に抱えています。
それでも、スーツの付加価値向上や新たな商品力の強化が進み、業界全体に「成長」の兆しが見え始めています。オーダーメードの需要がますます増加する中、業界各社はいかに対応していくかが今後のカギとなります。