モルディブの未来
2024-09-10 11:50:09

小島嶼国モルディブの未来を探るオンラインセミナー開催

モルディブの未来を考えるセミナーの開催



2024年7月25日、公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(以下、日本GIF)は、オンラインセミナー「課題先進国モルディブ:小島嶼国の未来の行方」を開催しました。講師には、独立行政法人国際協力機構(JICA)モルディブ支所長の髙城元生氏が招かれ、インド洋に浮かぶ美しいリゾート国であるモルディブの現状と未来に関する貴重な情報が提供されました。

モルディブの現状



モルディブは、26の環礁に分かれた1,192の島々で構成されており、人口は515,000人のうち約38万人がモルディブ人です。また、首都のマレには全人口の41%が集中しています。主な産業は観光業であり、近年の観光開発により国民の所得も向上しています。しかし、モルディブは海抜が平均1.5メートルと低く、気候変動の影響を受けやすい国でもあります。

地域差の現状



セミナーでは、モルディブの地域格差も重要なテーマとして取り上げられました。例えば、マレ首都圏では上水道の整備率が97%に上りますが、他の地域ではわずか15%です。下水道に関しては、首都圏が100%整備されているのに対し、他の地域では26%にとどまっています。このように、国全体で見るとインフラ整備の格差が顕著に表れています。

政府の取り組み



政府はこの地域格差の解消に向けて取り組んでおり、空港の数を大幅に増やし、上下水道の整備を進めています。しかし、財政に対する影響もあり、国の財政は赤字が続いています。対外債務についても、中国やインドなどに依存しており、その影響を懸念する声もあります。

環境への影響



特にインフラの整備は環境への影響も考慮しなければなりません。埋め立てによって海の温度が上昇し、サンゴ礁の白化現象を引き起こしています。JICAが推進する「気候変動に強靭で安全な島づくりプロジェクト」では、自然素材を活用した環境保護が進められており、持続可能な開発が期待されています。

セミナーの内容と反響



セミナーの中では、髙城元生氏が現地の最新情報を基に、モルディブの地域差や政府の取り組み、財政状況、環境問題など多岐にわたる話題について説明しました。参加者からは、質疑応答も活発に行われ、特にマレへの人口集中や環境教育についての質問が多く寄せられました。アンケートでは、参加者が財政や環境の影響について深い関心を持っていることが明らかになりました。

未来への展望



今後、モルディブの経済は観光業を中心に発展が期待されます。2025年には国際空港のターミナル拡張が計画されており、訪問観光客数は200万人を超える見通しです。一方で、環境保全に対する意識も高める必要があり、小学校での環境教育やリゾートでの保全活動が重要です。さらに、高齢化に伴う課題や、廃棄物問題にも取り組まなければなりません。モルディブの未来は、様々な課題を抱えつつも多くの可能性を秘めています。 

このセミナーは、モルディブの現状と未来に関心を持つ多くの人々にとって、非常に有意義な情報源となりました。今後もこのようなテーマに関する議論を深め、持続可能な発展に向けての取り組みを進めることが求められています。


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