リルズ株式会社とNTTファシリティーズが施設管理業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた共同検証を開始しました。背景には、ビル管理業界における技術者不足と労務費の高騰という課題があります。両社は、AI技術を活用して、施設管理の効率を向上させる試みを進めています。
共同検証の狙い
新たに導入するのは、リルズが開発した画像異常検知AI「LiLz Guard」です。このシステムは、2024年12月から東京と大阪エリアのNTTファシリティーズが管理する建物に導入され、技術者が行っている建物点検業務の一部をAIで代替できるかどうかを検証します。目的は、技術者の作業負担を軽減し、点検精度を向上させることです。2025年の本格運用を見据えて、両社は密接な連携を図りながら取り組む方針です。
建物維持管理業界の現状
近年、建物維持管理業界では、技術者の確保が厳しくなってきています。労務費の高騰も影響し、ビルのオーナーや管理者にとって大きな悩みの種となっています。また、日常点検はアナログ的な作業が多く、目視での異常検知が求められるため、これをAIに置き換えることは難しいとされていました。しかし、リルズの取り組む画像異常検知は、そんな問題に立ち向かうものです。
検証結果の展望
今回の共同検証では、2023年度に現場での性能試験を実施し、技術者が行う目視点検の代替として、97%の異常検知率を達成しました。これは、ビル運営品質向上につながる大きな成果です。具体的な異常検知項目には、防火シャッター周辺の閉鎖障害物や露出した配管からの漏水、照明器具の不点灯など、日常業務で頻繁に発生する問題が含まれています。
今後の進展と期待
両社は、2025年4月からの本格運用に向けて、検証を進め、最終的にはNTTファシリティーズの管理物件13棟にAIを導入する計画です。さらに、目視以外の五感代替ソリューションの開発も進める予定です。
現場の技術者は、従来の業務から解放され、より価値のある業務に集中できる可能性が高まります。リルズはすでに導入実績のあるIoT・AIサービス「リルズゲージ」を提供していますが、今回のリルズガードによってさらに多くの業務の省力化が実現するとされています。
まとめ
リルズとNTTファシリティーズの共同検証は、施設管理の未来を変える可能性を秘めています。デジタルトランスフォーメーションを進めることで、技術者不足や労務費の高騰という課題を乗り越え、ビル管理の質を向上させることが期待されています。この取り組みは、ビル運営管理の新しいモデルを示すものとなるでしょう。