木庭 MOKUTEI プロジェクトの始まり
東京建物株式会社は株式会社リバネスと手を組み、都市に住む人々が自然の森を再生する「木庭 MOKUTEI」プロジェクトを開始しました。この取り組みは、東京建物八重洲ビルにて行われ、2014年から進められてきた「リジェネラティブ・シティ実証プロジェクト」の第1弾となります。
本プロジェクトの中心的な理念は「都市のための森から、森のための都市へ」というものです。この理念に基づき、廃材を活用し、都市に集う人々の手で苗木を育成する取り組みです。自然界のサイクルである「倒木更新」を再現し、森を再生させるとともに、参加する人々のウェルビーイングも向上させることを目指しています。
特徴的な木材の使用
「木庭 MOKUTEI」で使用される木材は、雷で割れたものや、2本の木が寄り添って育ったものなど、ユニークな特徴を持つものを選んでいます。これらは通常の木材よりも価値が低く評価されがちですが、このプロジェクトではその個性を活かしています。また、苗木や植栽に関しては、木材の原産地である東京都西多摩郡檜原村の生態系を基にしており、地域の自然を再現することに注力しています。
市民の参加と成長のサイクル
参加者は、ビルに訪れるワーカーや来館者に限られていますが、彼らの手で屋内に設けた小さな森を育てます。苗木に水を与え、その成長を見守ることで、都市生活者としての新しい自然とのつながりを体感することができるのです。このプロジェクトは、1~2年後に育った苗木を檜原村の自然環境に植樹する計画です。この試みを通じて、都市と自然環境のサイクルが実現し、森の再生が根付くことを期待しています。
プロジェクトの展開
今後は、東京建物八重洲ビルのピロティやオープンスペース、エントランス、さらには商業施設の吹き抜け空間といった様々な場所に本プロジェクトが広がる予定です。これにより、多くの人々が自然に触れ合い、森の再生に関わる機会が創出されることを目指します。
リジェネラティブ・シティの概念
リジェネレーション(再生)という概念は、環境や社会が直面するさまざまな課題に対する新しいアプローチです。気候変動に対処するための「サステナブル」を超え、自然や社会を再生成し、明るい未来を作り出すことを目指しています。東京建物は、2024年11月に「Regenerative City Tokyo」構想を発表し、国際都市の新たなロールモデルとしての役割を果たすことを宣言しています。この計画の一環として、リジェネラティブな価値を創造するための共創やオープンイノベーションを推進していくとのことです。
企業情報
東京建物は1896年に設立され、長い歴史を持つ日本の総合不動産会社です。「次世代デベロッパーへ」をビジョンに掲げ、持続可能な社会の実現を目指しています。一方、リバネスは、科学技術の発展と地球貢献を目指す研究者集団で、さまざまなイニシアティブに取り組んでいます。
この木庭 MOKUTEIプロジェクトは、都市に居ながらにして自然とのつながりを深め、人々の意識を変える重要な一歩となるでしょう。多様な人々が集まる都市空間で、新たな環境意識の芽生えが期待されます。