グローバルファンドの新戦略
2025-05-19 12:36:05

グローバルファンド、感染症対策を最優先にした新たな戦略を発表

グローバルファンド、命を守る活動の優先順位を鮮明に



2025年5月14日、スイス・ジュネーブで開催された第53回理事会において、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(通称グローバルファンド)は、世界の保健医療サービスが抱える危機的な状況を受けて、新たな戦略を打ち出しました。この会議では、現在の事業実施期間における介入策の見直しと、今後の活動に向けた重要な決定がなされました。

現状の課題


副議長ビエンス・ガワナス氏は、現在、世界が直面している紛争や保健資金の減少といった複合的な脅威について言及しました。「今こそ覚悟を持ち、グローバルファンドの理念に再びコミットする時です」とのメッセージは、各国が連携し、協力することの重要性を強調しています。グローバルファンド事務局長のピーター・サンズ氏も、数百万の命とこれまでの成果が危機に瀕していると警告し、迅速な対応が求められる時期であると訴えました。

重点国主導の介入策見直し


理事会では、エイズ、結核、マラリアとの戦いでの成果を維持し、人命に関わる介入策へのアクセスを最優先事項として認識し、資金配分の見直しが必要であるとの結論に達しました。各国が主導するこの見直しプロセスでは、市民社会や当事者コミュニティ、保健大臣などさまざまなパートナーが協力することが強調されました。これにより、資金供与における透明性と迅速な意思決定を実現し、腐敗を防ぐための取り組みも行われます。

過去の成果と今後の方針


サンズ氏は、過去20年の活動を振り返り、平均寿命の延伸やユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進など、重要な成果が得られていることを強調しました。特に、アフリカ製HIV治療薬の調達については、パンデミックへの備えが強化されると述べました。また、出席者からは、持続可能な保健システムの構築や新たな脅威への備えが急務だという意見が挙がりました。

第8次増資への呼びかけ


理事会では、2026年からの第8次事業実施期間に向けた資金の増加が必要であるとの認識についても合意されました。南アフリカの保健副大臣マスム・パーハラ氏は、感染症の終息と強固な保健システムの構築には、グローバルファンドの増資が不可欠であると訴えました。また、英国代表からも各国が団結して支援を集める重要性が強調されました。

持続可能性と技術審査パネルの見直し


今後の活動においては、持続可能性と迅速な対応の両立が重要です。各受益国が国内資金を段階的に拡大し、独立した資金調達を進めることが求められています。また、技術審査パネル(TRP)の見直しが承認され、特に「インパクトの高い中核的な投資支援」が強化される見込みです。

グローバルファンドは、単なる資金供与に留まらず、国際社会の連帯と責任を基にしたパートナーシップを築いています。命を守るための新たなスタートが、今まさに始まろうとしています。各国が連携し、より良い未来に向けた取り組みを進めていくことが期待されています。

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この記事は、グローバルファンドの活動に対する理解を深め、国際保健の重要性を喚起することを目的としています。


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