子どもの性教育に対する意識調査から見える社会の課題とは

2024年度における「性教育に関する言葉・社会問題等についての意識調査」を実施したどろんこ会グループは、これらの結果を受け、現代社会における子どもたちの性教育についての認識や課題を明らかにしました。調査は、東京を拠点に活動を行う同グループが行ったもので、保育者や保護者を対象に性教育の重要性や現状について意見を集めました。

調査の背景と意義

性暴力の増加が深刻な問題として取り上げられる中、子どもたちを守るための「生命（いのち）の安全教育」という新たな取り組みが国から導入されています。この教育は性犯罪や性暴力に関する対策を進めるもので、学校や保育施設において、年齢に応じた教育を促進することを目的としています。しかし、一方では「ネット社会における性の情報の氾濫」や「従来の教育方法の限界」が指摘されており、今後の課題ともなっています。

1. 生命（いのち）の安全教育の評価と課題

調査結果によると、「生命の安全教育」としての内容に対して、78.6%の保育者と82.9%の保護者が「必要な教育で十分」と回答しました。この教育については「年齢別に必要な内容が含まれている」と評価された一方で、「内容が不十分である」という意見もあります。特に、最近の子どもたちはSNSやインターネットを通じて誤った性に関する情報に触れる機会が多く、従来の教育が追いついていないと多くの声が寄せられました。

2. 包括的性教育の必要性

調査では、「包括的性教育」に対する理解と必要性も議論されました。性に関する知識だけでなく、人間関係やジェンダー平等、多様性を学ぶことが求められています。保育者、保護者ともに「子どもに必要な教育」として支持される一方で、具体的な実施方法については工夫が必要との意見も多く届きました。

3. 日本版DBS制度に関する認識

「日本版DBS」の導入に対する評価も多く集まりました。この制度は、子どもに関わる職業の人々の性犯罪歴を照会できる仕組みであり、全体として38.7%のスタッフが「必要な制度である」と評価しています。しかし、制度が抜け道を持たないかや、初犯の防止策が十分でないという懸念もあります。

4. 性犯罪に関する刑法改正について

2023年に行われた性犯罪関連の刑法改正については、43.8%のスタッフが「必要な改正である」と答えています。その一方で、より厳しい罰則を求める声も多く、性犯罪に対する社会の意識が反映されています。

5. インターネットにおける性的コンテンツへの懸念

保護者からは、インターネットやSNSにおける性的なコンテンツの存在に対する強い懸念が寄せられました。現在、子どもたちが利用する様々なメディアにおいて、性的表現が多く含まれています。保護者自身はこれらを完全に管理することが難しく、そのため「運営側がしっかりと対応すべきである」という意見が多く見受けられました。

6. 大人向けの性教育の必要性

子どもの性暴力防止のためには、大人向けの性教育の重要性が指摘されています。意識調査では、スタッフや保護者ともに「幼児期からの性教育」が最も多く選ばれましたが、大人向け性教育の必要性は認識されていない傾向があり、今後の啓発が求められます。

結論

どろんこ会グループは、この調査を通じて、性教育の在り方や社会の認識を把握し、今後も継続して子どもと大人に対して効果的な情報提供と教育を行っていくとしています。次世代を担う子どもたちが安心できる社会を作るためには、大人たちが主体的に取り組むことが不可欠です。今後も性教育の充実に向けて、具体的な提言と活動を進めていく方針です。