国土交通省も採択した新しい3Dスキャン技術『Scanat-D』がインフラメンテナンスを変革

インフラメンテナンスの未来を拓く『Scanat-D』

インフラメンテナンスの効率を大きく変える新たな技術、それが3Dスキャンアプリ『Scanat-D』です。nat株式会社と寿建設株式会社によるこの革新的なシステムは、現場でのデジタル活用を推進する重要な一歩とされており、国土交通省の評価も受けています。

1. 背景と開発の経緯

寿建設は30年以上の経験を持つ企業で、地元の国道維持管理やトンネル補修工事に携わりつつも、多くの情報共有の課題に直面していました。2023年、寿建設の森崎社長は、建築分野で開発された『Scanat』に出会い、その有用性を直感し、nat株式会社との連携を決意しました。これが、土木・インフラ分野への応用の始まりです。

2. Scanat-Dの特長と効果

『Scanat-D』は、iPadやiPhoneを用いて現場の3Dデータを迅速に生成し、クラウドで共有することができるシステムです。このシステムによって、現場の状況把握、計測、発注者との情報共有が劇的に効率化されます。特に、現地での再確認や移動時間を大幅に削減できるため、メンテナンス作業がスムーズに進むことが期待されています。

例えば、国道メンテナンスの緊急対応では、現地確認や情報共有が迅速に行えるため、従来の手書きの記録や何度も行う立会いを最小限に抑えることが可能になります。寿建設が国道4号の維持補修工事に『Scanat』を導入した結果、月あたり約21時間の作業時間を削減する成果も上げています。

3. 生産性の向上と今後の展望

『Scanat-D』を用いることで、舗装の修繕やトンネルの点検業務における3Dデータの利用が進み、現地での視認や打ち合わせが簡潔に行えるようになります。これにより、全ての関係者がリアルタイムで状況を把握し、素早い対応が可能になるのです。

さらに、将来的にはトンネル工事や道路保全など、さまざまなインフラ現場にも『Scanat-D』の技術が広がることが期待されています。2024年6月には、国土交通省の「働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業」にも採択され、モデル事業としての紹介も予定されています。すでに業界内からの理解と期待が高まっており、今後の普及に向けた準備が進められています。