新たな養殖技術への挑戦
近年、持続可能な養殖の重要性が増す中、株式会社Seasideは広島大学大学院と共同でバナメイエビの摂餌効率に関する共同実験を行いました。本実験の目的は、異なる水温下でのバナメイエビの成長と摂餌効率の関係を明らかにすることです。実施期間は2024年10月から2025年2月までであり、実験では17℃、20℃、23℃、26℃の4つの水温範囲が設定されました。
実験結果の概要
実験の結果、バナメイエビは低水温条件下ではかなり成長が鈍化することが確認されました。具体的には、餌を食べる量は高水温下に比べて少なくなる一方、摂餌量や成長率は期待できないことが分かりました。従来、養殖業者の経験則に基づいていた知見が、この実験によって学術的に裏付けされ、具体的なデータとして示されたことは重要な一歩です。
さらに、低水温時の給餌方法やリカバリー時間に関する新たな知見が得られ、養殖事業者にとって実用的な指針を提供できる結果となりました。南米の暖かい海域に生息するバナメイエビは、日本の四季の変動にどう対応すべきか、養殖マネジメントの難しさが浮かび上がってきました。
養殖における水温管理の重要性
株式会社Seasideは、養殖における水温管理が成否を分ける重要な要素と位置付けています。自然界において魚は適切な水温を求め、移動しますが、養殖ではそれを低コストで実現する場所を選ぶ必要があります。具体的には、エビは東南アジア、サーモンは北欧など、気候に適した地域が養殖地とされていますが、日本では地域の特性を考慮した新たな養殖方法が求められます。
Seasideでは、2016年からのエビ養殖研究を通じて、水温コントロールの重要性を再認識しました。しかし、加温コストの増加が収益を圧迫するため、効率的な水温管理方法の開発が急務とされています。そこで、熱工学を利用した新技術を導入し、投下エネルギーを最大限に効率よく活用することで、養殖業のコスト削減と効率向上を目指しています。
養殖産業の未来への展望
Seasideは「養殖2.0」として、養殖産業の新しい時代の幕開けを宣言しています。これまで、養殖は製品の消費地から遠くの生産地で行われてきましたが、今後は消費地に近い養殖が望まれる時代が来るとしています。地域内での養殖による地産地消が可能となれば、地方経済の活性化にもつながります。
具体的には、空き地や廃校などの遊休施設を活用した小規模養殖が行われることで、地域内での雇用創出や経済循環が期待されます。この取り組みは、食料自給率の向上や食の安全保障にも寄与するでしょう。
新型陸上養殖技術の導入へ
Seasideは新型陸上養殖水槽や収穫装置の導入を計画しており、様々な施設に対応できる技術パッケージを提供しています。養殖水槽のみならず、エネルギーコストを削減するための発電設備やIoTによるモニタリングシステムも含まれます。
これにより、農業用ハウスや飲食店のバックヤードなど、さまざまな施設での養殖が現実のものとなるのです。這い性持続可能な地産地消の実現を目指す株式会社Seasideの挑戦から目が離せません。
会社情報
株式会社Seasideは、耕作放棄地を活用したエビの陸上養殖を国内初めて実現した企業として、技術革新を追求し続けています。多様なプロジェクトによる実績も豊富で、今後の展開にも注目です。
公式ウェブサイト:
Seaside公式サイト