三重県尾鷲市で日本自然保護協会(NACS-J)と地元企業が協力し、持続可能な自然環境の実現を目指す「ネイチャーポジティブ」コンソーシアムが発足しました。この取り組みは、地域の生物多様性を守るとともに、自然と人が共生できる社会の実現を狙っています。
コンソーシアム設立の背景
このコンソーシアムは、尾鷲市との連携を深めながら生物多様性の保全に注力することを目的としています。2024年11月には「尾鷲ネイチャーポジティブアクション会議」が開催され、そこで7社の企業や尾鷲市と協力してコンソーシアムの共同設立に至りました。イベントの初日には森林整備の実体験を通じて、生物多様性の重要性についての学びが得られました。そして2日目には参加者同士のディスカッションを通じて、今後の具体的なアクションに関する宣言が行われました。
具体的な活動内容
新たなコンソーシアムは、以下の三つの柱を中心に活動を進めていくことが決定しています。
1.
自然環境整備:尾鷲市全域の森林の評価とゾーニング、さらに生物多様性の指標を作成し、森林整備や藻場再生を推進します。これにより、地域の自然環境を豊かにし、エコシステムの回復を図ります。
2.
環境負荷低減:再生可能エネルギーや省エネルギーの推進を行い、環境への負荷を軽減するための施策を展開します。また、人と自然が共生するためのガイドラインを作成し、地域資源の有効活用を図ります。
3.
教育の促進:新しい一次産業の担い手向けの教育プログラムや、気候変動への対応力を高めるための学び場を創設する計画も進行中です。地域住民を巻き込み、次世代の自然環境保全を担う人材育成をしていきます。
ネイチャーポジティブの意義
「ネイチャーポジティブ」という概念は、生物多様性を維持しながら地域の発展を追求するアプローチです。これは地域の自然環境だけでなく、住む人々の生活にも良い影響を与えることでしょう。土地の特性に応じた行政施策と結び付けた取り組みが特色であり、地方自治体、企業、市民などが一体となって進めていく重要性があります。
終わりに
NACS-Jは、1945年に設立された日本国内で最も歴史的な自然保護団体の一つです。彼らは自然環境の保全活動を通じ、人と自然が共生し、豊かな社会を築くための取り組みを続けています。尾鷲市での新たな試みは、地域を支えるだけでなく、全国における自然保護の模範となることでしょう。このコンソーシアムの活動が今後どのように展開されていくのか、期待が寄せられます。