ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた挑戦!横浜の大さん橋で苛烈環境下での大規模実証開始
神奈川県横浜市に本社を置く株式会社マクニカは、次世代型太陽電池として世界中で注目される「ペロブスカイト太陽電池」の実用化に向けた大規模実証を、横浜市の大さん橋デッキ上で開始しました。
この実証事業は、環境省からのサポートを受け、国内最大規模の実施となります。ペロブスカイト太陽電池は、軽量で薄く、曲げることができるという特徴を持つことから、従来の太陽電池に比べて設置場所を選ばないというメリットがあります。しかし、実用化に向けては、耐久性や交換方法などの課題を克服する必要があります。
今回の実証事業では、これらの課題解決に向けた取り組みが行われます。具体的には、大さん橋という海風の強い重塩害環境下で、ペロブスカイト太陽電池の耐久性や発電効率を検証します。また、交換可能な装着方法の開発や量産化に向けた技術開発も進められます。
実証事業の背景と目的
本実証事業は、環境省の「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」に採択され、2023年度より3年間の技術開発・実証事業として実施されています。
ペロブスカイト太陽電池の発明者である桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授の指導の下、マクニカが代表事業者となり、ペクセル・テクノロジーズ株式会社と株式会社麗光が共同実施者として参画しています。
実証内容
2023年度は、重塩害環境下でのペロブスカイト太陽電池モジュールの開発を行い、大さん橋での実証では発電効率10%以上を実現しました。
2024年度は、さらなる高効率化と容量の拡大に対応するだけでなく、量産化を実現する生産方式「RtoR」でのペロブスカイト太陽電池モジュールの製造技術開発が進められています。
今回の大さん橋実証では、RtoR方式で製造されたペロブスカイト太陽電池モジュールを用いて、非常用電源電力サイズのシステムを構築し、屋外での稼働実証を行います。また、開発中の複数種類のペロブスカイト太陽電池モジュールの検証と併せ、実用化を見据えたシステム構成の検証・実証も同時に行います。
実証期間と場所
- - 期間: 11月12日~1月31日
- - 場所: 横浜港大さん橋国際客船ターミナル屋上広場
実証のポイント
- - 大容量(30㎝×1mサイズを最終的に80枚程装着予定)での屋外ペロブスカイト実証を実施
- - 種類の異なるペロブスカイトモジュールを順次設置し、比較検証を行う
- - 発電容量は最終形態で1kw程度予定
- - 耐久性の確認として、3か月前後の屋外での塩害、風害に対応する封止構成、フィルム耐久性
- - ペロブスカイトモジュールを交換容易とする新規装着方法の実装とテストを実施
実証の意義
今回の実証事業は、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた大きな一歩となります。環境問題への貢献、エネルギー供給の安定化、さらには新たな産業の創出にもつながることが期待されます。