地球深部の岩石探求
2026年6月10日、明治大学と高輝度光科学研究センター、東京大学、岡山大学の研究チームが、地球の奥深くに沈む海底岩石に関する画期的な研究成果を発表しました。この研究では、海洋プレートが核―マントル境界近くまで沈み込んでいることを示す新たな証拠が得られました。研究代表者である新名良介准教授(明治大学)を中心としたチームは、地球深部の再現実験、原子レベルでの理論計算、地震波の観測データを組み合わせて、この重要な発見に至ったのです。
海洋プレートと地球深部の関係
地球の表面では、海洋プレートが海溝から地中へと沈み込んでおり、その過程でプレート由来の岩石がマントル内部へと運ばれます。過去、研究者たちは、これらの岩石が何億年もの時間をかけてマントルの深部へ到達していると考えていましたが、実際にどの深さまで到達しているのかを証明するのは難しい課題でした。この研究では、約2900kmの深さに位置する核―マントル境界付近にまで達している可能性が示され、地球科学の新たな視点を提供しています。
キーとなるSiO2の影響
研究の中心には、海洋地殻に多く含まれる二酸化ケイ素(SiO2)がありました。SiO2は、地球の深部において非常に高い圧力と温度のもとで結晶構造が変化し、「seifertite」と呼ばれる高密度の構造に移行します。この構造変化は、地震波に特徴的な影響を与えるため、沈み込んだ岩石を探る上での重要な手がかりとなります。
研究チームは、まず高温高圧実験を行い、SiO2がどの圧力と温度でseifertite構造に変わるかを正確に測定しました。次に、量子レベルの理論計算を行うことで、実験結果の妥当性を確認しました。この過程では、問題となっていた準安定相の影響についても検証が行われました。
地震波形データによる検証
さらに、膨大な地震波形データを解析した結果、中央アメリカおよびハワイ下の地震波速度構造と照らし合わせることに成功しました。実験室での鉱物変化と、実際の地球深部で観測される地震波速度異常が一致することが確認されたのです。
この研究成果は、JSPS科研費の支援を受けて実施され、イギリスの学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。急速に進化する地球科学の世界において、いかに科学的アプローチが重要かを証明する結果となったのです。
今後の研究に向けての期待
今回の発見は、地球科学の発展において非常に重要な意義を持ちます。海洋プレートの沈み込みを通じて、地球内部の動態を理解することは、今後の研究において新たな展望を開くことでしょう。研究チームは、今後もさらなる実験とデータ解析を進め、地球の深部に関する理解を深めていく予定です。この研究により、私たちの地球に対する理解が一層深まり、未来の世代へ向けた新たな科学的知見を提供できることを期待しています。