舞鶴市が関西万博に出展
2025年9月8日から14日までの間、大阪・関西万博の関西パビリオン京都ブースに舞鶴市が参加することが決定しました。このブースは「いのち〜「生と死」と向き合って〜」というテーマの下、未来に向けた平和の願いを発信することを目的としています。舞鶴市の取り組みは、引き揚げの歴史を学び、語り継ぐことで、次世代へとつなげていくものです。
引き揚げと舞鶴市の歴史
戦後、舞鶴市は海外から多くの日本人を引き揚げる拠点となりました。この歴史的背景は、平和の尊さや人々の再会の大切さを今に伝えており、特に戦争や引き揚げの記憶が風化しつつある現代において、その重要性は増しています。舞鶴市は、この史実を世界へと発信し、「次世代から次世代へ」と平和の願いを引き継ぐ活動に力を入れています。
舞鶴引揚記念館の役割
舞鶴引揚記念館は、引き揚げやシベリア抑留に関する歴史を伝える重要な施設です。昭和63年に開館し、戦争を知らない世代にその歴史を知ってもらうことを目的としています。平成27年には570点の資料がユネスコの世界記憶遺産に登録され、国内外で平和の尊さを広める活動を行っています。
特別展示:ユネスコ世界記憶遺産資料
関西万博では、ユネスコ世界記憶遺産に登録された資料の複製が展示されます。以下はその紹介です。
白樺日誌
白樺の皮をノートとして用い、缶詰の空き缶をペンとして改造し、煤をインクとして使用したこのノートには、故郷への思いを語る和歌や俳句が約200首記されています。
スケッチブック
抑留中に描かれたスケッチブックは、収容所の様子や労働の様子を記録した貴重な資料です。ソ連からの指示で描かれた日々の景色が、生きた証として残されています。これらは奇跡的に日本に持ち帰ることができたものです。
俘虜用郵便葉書
抑留者とその家族が唯一の通信手段として使用した往復葉書は、検閲が厳しかったため、自由に思いを綴ることはできませんでした。それでも、抑留者たちはこの手紙を通じて生存の証を家族に伝え、心の支えとしました。
会場での動画展示
大阪・関西万博会場では、舞鶴市が取り組む学生の語り部活動や、舞鶴工業高等専門学校の生徒によるデジタル技術を活用したプロジェクト、さらには引き揚げの歴史に基づいたウズベキスタン共和国留学生の活躍を紹介する動画も放映されます。これらの活動を通じて、観客の心に平和の重要性を訴えかけることでしょう。
舞鶴市の出展は単なる歴史の展示にとどまらず、未来への大切なメッセージを全世界に発信する絶好の機会となるでしょう。