渋谷でのレコードストアの歴史を探る
2026年5月に、FTF株式会社の創業者・武井進一氏による書籍『The History of Record Stores in Shibuya ~ & Beyond 渋谷、レコード店の歴史、そして、それ以上の何か』が出版される。この本は、藤原ヒロシ氏と鈴木哲也氏のプロデュースのもとで制作され、戦後から現代に至るまでの渋谷と原宿の街の歴史を記録する一冊だ。
アナログレコード専門店「Face Records」の役割
Face Recordsは、渋谷・宇田川町で30年以上にわたり営業を続けているレコード店であり、世界中の音楽愛好者が集う場所である。武井氏は自身が経営するレコード店の歴史に興味を持ち、「渋谷に最初のレコード店はいつだったのだろうか?」という疑問から調査を始めた。
その過程で、彼は古書店や図書館、役所に残る資料を丹念に調べ、次第に「レコード店の歴史」を越えて「渋谷の街の歴史」へと関心が広がった。この個人的な調査は、アカデミックな研究に匹敵するほどに深化していった。
GHQ占領と文化の変遷
武井氏の調査によれば、渋谷の歴史はGHQによる占領政策やアメリカナイゼーションと密接に結びついている。これによって市民の価値観も大きく変化し、渋谷は文化発信地としての地位を確立していった。彼は渋谷のレコード店の歴史を追いかけることで、戦後日本の文化の変遷を明らかにしようと試みている。
この本は、音楽とファッションが交錯する渋谷の文化史、さらにはその背後にある社会的な動きについても深く掘り下げている。
特に1990年代には、渋谷は「世界一アナログレコードが埋まっている街」とも呼ばれており、そこに至るまでの経緯には、多くの理由が隠されている。
本書の構成
書籍は大きく分けて四部構成となっており、渋谷で最初のレコード店から始まり、様々なコラムや文化史を織り交ぜながら、レコードの誕生や当時の人々の生活を描写している。第一部では、「渋谷で最初のレコード店は?」という問いに対する答えを探り、その歴史を探究している。
第二部では、初の輸入盤店「ワシントン・ハイツ」の記録と記憶に焦点を当てている。第三部では、米軍がもたらしたアメリカンカルチャーについて言及し、第四部ではサブカルチャーの発展を探求している。
渋谷の未来とレコード文化
著者・武井進一氏のキャリアは、レコード業界における新たな価値を発信しつつ、渋谷という土地の記憶を掘り起こすという地道な作業を続けるエキスパートである。Face Recordsは、その活動を通じてアナログ文化の新たな可能性を模索し続けている。
書籍発売の概要
本書はmo'des bookより2026年5月上旬に発売予定で、価格は税別2800円。具体的な取扱店舗には、Face Recordsの各店舗をはじめ、蔦屋書店などが挙げられ、オンラインでも購入可能だ。
渋谷のレコード店の徹底的な研究が詰まった一冊は、音楽ファン、文化史に興味がある方にとって必携の書となるだろう。