ジーニアルテクノロジーの新たな進展
監査法人向けに開発されたAI証憑突合システム「ジーニアルAI」を手掛ける株式会社ジーニアルテクノロジーが、インキュベイトファンドから約6,000万円の資金調達を実施しました。これは、会計監査において、監査法人が果たす役割への期待が高まる中での重要なステップです。
現在の監査業務の課題
上場企業に対するコンプライアンス遵守や情報開示の透明性が求められる今、特に監査法人の役割が重要視されています。しかし、会計監査の現場では依然として紙ベースの資料が多く、手作業での作業が残されています。このプロセスには、取引の証拠資料となる書類を照合し、事実や記録の妥当性を検証する証憑突合があります。この手続きは監査全体の効率を大きく影響するため、より自動化が進められる必要があります。
ジーニアルAIの特徴
ジーニアルAIは、「AIでもっと役立つ監査を」というミッションのもと、証憑突合を自動化する自己学習型の監査ツールです。このシステムは、注文書や納品書、請求書などの会計記録をAI-OCR技術で読み取り、自動的にデータを突き合わせて検証します。これにより、監査業務の効率が劇的に向上することが期待されています。
代表取締役の阿部川明優氏は、公認会計士やシステム監査技術者としての経験を生かし、監査業務の自動化を目指しています。現時点で、テクノロジーを利用した業務効率化が注目されている中で、ジーニアルAIはこの流れに乗る形で開発が進められています。
実証実験の成果
ジーニアルAIは、PwCあらた有限責任監査法人との共同で行った証憑突合の実証実験において約94%の精度を達成しました。計3,433件の明細行のうち、3,226件は従来の紙ベースの資料を使った場合と同じ結果を出しました。この結果により、ジーニアルAIが監査実務において有用であることが確認されました。
今後の展開
ジーニアルテクノロジーは、現状リリースされているウェブアプリに加え、Excelアドインの開発を進めており、大手監査法人へのグローバルな導入を目指しています。また、一般企業向けにも、定型的なデータ入力や照合が行われる場面での業務効率化を実現するRPAツールの開発も進めているとのことです。
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投資家の支援
今回の資金調達に参画したインキュベイトファンド代表パートナーのポール・マクナーニ氏は、「AIを活用した監査という阿部川さんのビジョンの実現をサポートできることを大変嬉しく思っています。会計監査はグローバルで1200億ドルの市場であり、AIの活用には無限の可能性があります」とコメントしています。ジーニアルテクノロジーのチームと連携し、監査業界に革新をもたらすソリューションの提供を楽しみにしているとのことです。
まとめ
ジーニアルテクノロジーの取り組みは、AIを駆使した監査業務の効率化に向けた一歩であり、今後の成長が強く期待されています。これにより、監査法人が持つべき信頼性と透明性がさらに高まることが望まれています。