認知症絵本特集
2025-09-03 08:49:01

大人にこそ読んでもらいたい認知症絵本についての特集記事

大人にこそ読んでほしい絵本『その人らしさ なくならない』



近年、日本における認知症患者の数は約700万人に達しています。高齢化の進行に伴い、認知症は多くの家庭で直面する現実の一つとなりました。そこで、認知症をテーマにした絵本『その人らしさ なくならない』が登場します。この作品は、脳科学者の恩蔵絢子氏が、自身の母親が認知症になった際の経験をもとに綴った感動的なストーリーです。

希望の物語



本書は、認知症によって失われる記憶や日常的な行動の変化を描写しつつ、それでもなお母としての「その人らしさ」が失われないことへの希望を表現しています。料理が得意だったお母さんが、料理の仕方を思い出せなくなる日常や、帰り道を忘れてしまう瞬間、さらには自分の娘のスカートをはいたことによる戸惑いなど、リアルな状況が描かれます。

それでも、母親はお散歩の途中で好きな花や歌を思い出し、一瞬にして若かりし日々の思い出が蘇ります。感情は消えることがないのです。この点が、本書の大きなメッセージとなっています。認知症になっても「好き」という感情は残り続けるという希望を、恩蔵氏は読者に伝えています。

賢い描写



絵本は、お母さんと娘の二つの視点で語られます。絵本の前半は母のパートで、後半は娘のパートと進み、二人の対話が心温まるストーリーを構成しています。「だいじょうぶだよ、おかあさん」と語りかける娘の言葉には、脳科学者である恩蔵氏の知識と愛情が詰まっています。特に記憶を司る「海馬」の仕組みや、認知症の方に寄り添う温かさが反映されています。

認知症への理解と支援



この絵本が特に優れているのは、身近に認知症の方がいなくても、誰もが共感を示せる内容だという点です。年齢やバックグラウンドに関係なく、家族の絆や愛情について考えさせられる作品です。恩蔵氏の目を通して認知症の理解が深まり、認知症と闘う方々への支援の重要性を再認識させられます。

知識を深める巻末解説



さらに、巻末には「脳科学者から見た認知症」という解説が約10ページにわたって収録されています。この解説では、記憶中枢である「海馬」や記憶と感情の関係、認知症における「その人らしさ」がどのように保たれるのかが分かりやすく紹介されています。これにより、絵本を通じて得たメッセージを深く理解することができます。

出版記念イベント



『その人らしさ なくならない』の出版を記念して、特別なイベントが開催されます。脳科学者の恩蔵絢子さんによる朗読・講演会とサイン会が予定されています。日時は9月15日(祝・月)の14:00から、誠品生活日本橋 FORUMで行われ、オンライン参加も可能です。さらなる詳細や申し込みについては、公式サイトをご覧ください。

著者プロフィール



恩蔵絢子


脳科学者として、自意識や感情に関する研究を続けており、東京工業大学大学院を修了。数多くの著書を持つ他、各大学で非常勤講師としても活動しています。

大谷たらふ


著名なアニメーション作家で、子供番組やミュージックビデオなど、多方面で活躍中。本書の挿絵も手掛けており、その描写は深い感情を引き出します。

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本書『その人らしさ なくならない』は、認知症というテーマを通じて誰もが共感し、感動できる一冊です。その人らしさや愛情の大切さを再確認できる貴重な作品として、多くの読者に届くことを願います。


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会社情報

会社名
株式会社大泉書店
住所
東京都港区虎ノ門4-1-40江戸見坂森ビル4F
電話番号
03-5577-4290

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