新たな地平を切り開く「Studio W」
昨今、多様な表現が求められる中、演出家であり劇作家のウォーリー木下さんと音楽家の和田俊輔さんが手を組み、「Studio W(スタジオダブル)」という創作ユニットを立ち上げました。
このユニットは、従来の枠にとらわれない実験的なミュージカルを創造する場として注目されています。
その第一弾公演『時計のこども Child of Time』が、2026年5月15日から17日までCBGKシブゲキ!!で上演され、多くの観客を魅了しました。公演は、あたかもブロードウェイのワークショップのように、物語の大まかな構成と主な楽曲を披露する形で進められました。
舞台の魅力と設定
公演には簡易な時計盤をイメージしたセットが配され、無数のライムライトやアンティーク風のランプが観客を迎えます。舞台上には出演者と演奏者の和田さんが登場し、物語の幕が開きます。時計と人間が共に暮らす星で、時間を刻む能力に欠けている「チク」と彼の親友「タク」、夢を持つ音楽教師「メロ」、そして時計職人「マスター・ルバート」の物語が展開されます。
歌や音楽、哲学的な問いを通じて、様々な感情をそのまま送り出す力強い表現が光ります。特に、チクが音楽コンクールに挑む日、タクの行動によって引き起こされる悲劇は、観客に深い考察を促します。
音楽と演出の相乗効果
ウォーリーさんがストーリーの骨格を作り、和田さんが楽曲と歌詞を創作するというコラボレーションは、まさにキャッチボールのように楽しいものでした。二人の蜜のような関係性は作品全体に反映され、歌詞は観客の想像をかきたてる詩的な表現になっています。
楽曲は、「チクタク」や「ジリリリ」などの擬音を巧みに取り入れ、耳に残るリズム感が特徴的です。また、ウォーリーさんの演出によって、シンプルながらも美しい空間が作り出され、観客を物語の核心へと引き込んでいきます。
アフタートークと今後の展開
公演の終了後には、ウォーリーさんと和田さんによるアフタートークがあり、観客と直接対話する機会が設けられました。このセッションで、彼らは今後の公演に向けてのアイデアや、新たな登場人物や楽曲の追加について触れ、期待感を高めました。
創作プロセスを共に楽しむ姿勢はこのユニットの魅力の一つであり、単なる作品完成以上の楽しさが感じられました。ウォーリーさんの語る「日本語で歌うこと」の重要性は、今後のオリジナルミュージカルにおいて、新たな標準を生み出す可能性を秘めています。
映画さながらの雰囲気で楽しめる時間
全体で60分の公演は、演技や音楽、そして照明、そしてシャボン玉などの演出が相まって、極上のエンターテインメントとなりました。これまでの枠にとらわれない試みが行われる「Studio W」。観客と一緒に創り上げることで、今後どのような作品が生まれるのか、ますます目が離せません。期待が膨らむこのユニットの今後の活動にも注目です。
取材・文=町田麻子