株式会社ゼストが「ひょうごTECHイノベーションプロジェクト」で実証実験を完了

在宅医療・介護分野でデジタル変革を推進する株式会社ゼスト（本社：東京都新宿区、代表取締役社長：一色淳之介）が、兵庫県の自治体プロジェクト「ひょうごTECHイノベーションプロジェクト」において実施した実証実験の結果を発表しました。この実験は、兵庫県多可町で行われ、「訪問ルート構築支援」をテーマにしていました。

高齢化社会への対応

日本では急速な高齢化が進んでおり、介護を必要とする人々の増加とそれに応えるケアマネジャーの不足が大きな社会的課題となっています。多可町においても、適切な介護サービスを提供するため、ケアマネジャーの業務効率化が求められていました。具体的には、ケアマネジャーは手作業で訪問スケジュールやルートを組んでおり、これが大きな負担となっていました。そこで、技術を駆使して訪問時期や住所をもとに最適なスケジュールとルートを自動で生成する必要があったのです。

実証実験の概要

本実証実験は、2024年9月2日から2025年1月31日までの期間で行われ、対象となるケアマネジャーたちがZEST SCHEDULEを使用して、これまで手動で行っていた訪問スケジュールの作成、ルートの調整、担当の割り当てを自動化しました。ZEST SCHEDULEはAIを活用し、利用者と職員のマッチングや移動時間、勤務シフトなど、特有の業界条件を考慮したスケジュールを提案するシステムです。

効果の検証

実証実験の結果、ZEST SCHEDULEの導入によって、ケアマネジャーの業務効率化に一定の効果が得られました。調整に要する時間は従来の手作業と比べて約36%短縮され、特に訪問件数の多いケアマネジャーでは約50%の短縮が実現しました。また、移動時間もAIによるルート最適化により、1件あたり約7%の短縮が確認されました。このことから、ケアマネジャーたちはより効率的に業務を遂行できるようになったと言えます。また、実験参加者からは、利用者の登録やデータの管理がしやすくなったという声も寄せられ、業務の引き継ぎや分担が容易になったとのことです。

今後の展望

実証実験が成功裏に終わり、ZEST SCHEDULEが訪問業務の効率化に寄与することが確認された一方で、ケアマネジャーたちからは、訪問頻度が低いために事前のスケジュール確定が難しいという課題も浮かび上がりました。ゼストでは、このフィードバックを真摯に受け止めてさらなるプロダクト改良に努めていく予定です。高齢化社会における地域包括ケアシステムの構築に向けて、ZEST SCHEDULEは進化を続け、より質の高いケアを提供できる環境を整えていくことを目指しています。