メクテック、インフラ管理向けの新技術「ひずみセンサ」を開発
概要
メクテック株式会社は、新しいフレキシブルプリント基板(FPC)である「ひずみセンサ」を開発しました。このセンサは、インフラ構造物の微細なひずみをリアルタイムで検知することを目的としており、2025年8月25日に滋賀県で実証実験を開始します。これにより、インフラ管理における効率化と新たなメンテナンス手法の確立が期待されています。
背景
日本のインフラは、高度経済成長期に整備されたもので多くが更新時期を迎えています。特に、全国の約73万の道路橋や約1万本のトンネルは、5年ごとに定期点検が行われる必要があります。しかし、専門技術者の不足と膨大な作業量が課題となっている中、メクテックの「ひずみセンサ」が新たな光をもたらします。
ひずみセンサについて
「ひずみセンサ」は、振動や膨張などによって生じる抵抗値の変化を敏感に検知します。コンクリート構造物への設置を想定し、環境への影響を低減させた製造方法が採用されています。導電素材にはカーボンが用いられ、耐腐食性と耐久性を兼ね備えた設計です。
実証実験の内容
実証実験は、滋賀県東近江市の長大橋や近江鉄道線の線路・鉄橋などで行われます。本実験では、構造物に「ひずみセンサ」を設置し、微弱なひずみのデータをリアルタイムに収集・分析することが狙いです。これにより、従来の目視点検では対応が難しい微細な異常を早期に把握することが可能になります。
今後の展望
得られたデータは、将来的なインフラ管理に幅広く活用される見込みです。早期に異常を発見することで、災害や事故の未然防止が期待され、メンテナンス作業の効率も向上します。メクテックでは、2025年度中に試作を開始し、2030年には量産化を計画しています。
共創プログラム「FICCT拠点」
本プロジェクトは、大阪大学先導的学際研究機構が推進する「住民と育む未来型知的インフラ創造(FICCT)拠点」の一環として進められています。このプログラムでは、地域住民、自治体、企業、研究者が連携し、持続可能なインフラ管理を目指して科学技術の社会実装を進めていく予定です。
企業の背景
メクテックは、1969年にNOK株式会社のフレキシブルプリント基板製造子会社として設立され、世界中で様々な電子機器に使用される技術を提供しています。創業55周年を迎える2024年には社名を「メクテック株式会社」に統一し、さらなる成長を目指しています。これにより、地域のインフラの持続可能性を支える新しい技術の実現が期待されます。