TBMと太陽機械が環境配慮型フィルムセンサーを共同開発

TBMと太陽機械製作所が開発したフィルムセンサーデバイス

株式会社TBMは、太陽機械製作所と連携して、「LIMEX Sheet」を基材として利用した環境配慮型のフィルムセンサーデバイスを開発しました。このデバイスは、炭酸カルシウムなどの無機物を主成分としたLIMEX素材に導電回路を印刷するもので、エレクトロニクス分野での応用は今回が初めての試みです。

環境への配慮

近年、IoT技術が進化する中で、データ収集のためのセンサー需要が増加しています。その中で、従来の印刷技術を用いたプリンテッドエレクトロニクスが注目を集めています。この新たな技術は、低コストで迅速な製造を可能にし、環境負荷の軽減にも寄与することを目指しています。

TBMと太陽機械製作所は、LIMEX素材の環境性能とHSP（High-speed printing）技術を融合させ、より持続可能な製品の開発を目指しています。特にHSP技術は、速乾性インクの使用と高精度の印刷を実現しており、従来のフィルムセンサー製造における焼成時間と温度の課題を解決します。

技術の具体的な利点

ここで注目すべきは、LIMEX Sheetをフィルムセンサーの基材として利用することで、従来のPETフィルムに比べて石油由来プラスチックの使用を約55％削減できる点です。また、温室効果ガスの排出量も約52％減少させることが期待されています。さらに、従来の紙基材と比較して水の使用量も約94％削減する見込みです。このように、環境影響を大きく軽減する効果が期待されています。

今後の展望

プリンテッドエレクトロニクス市場は、2035年までに約2兆円規模に成長する見通しです。この新たに開発されたフィルムセンサーデバイスは、温度、湿度、圧力など様々な計測に対応できるため、今後の展開が非常に楽しみです。これまで10年間でグローバルな出荷金額は約2.3倍に増加しており、成長が期待されています。

TBMは、太陽機械製作所と共にこの環境配慮型フィルムセンサーデバイスの製造技術の確立を目指し、同時に他の企業とも連携しながらLIMEX材の普及に力を入れる方針です。

LIMEX Sheetの特徴

LIMEXは、環境に優しい無機フィラーを50％以上含む複合素材です。この素材は、プラスチックや紙を製造する過程で必要な資源の保全にも貢献します。また、製品のライフサイクルにおける環境影響は、ライフサイクルアセスメント（LCA）を通じて科学的に分析され、持続可能性が確保されています。

これから主流となることが予想されるサステナブルなエレクトロニクスデバイスとして、TBM と太陽機械製作所の取り組みが、エレクトロニクス業界の進化を牽引することが期待されています。