日本のSTEMスキル、教育面での課題を浮き彫りにしたCebrの調査結果
最近、英国の経済ビジネス調査センター(Cebr)が発表した最新の「STEMスキル・リーグ・インデックス」は、日本のテクノロジー領域での強みを浮き彫りにしました。シンガポールやスイス、フィンランド、デンマークなどがトップに名を連ねる中、日本は特にテクノロジーおよびエンジニアリング分野で高評価を得ました。しかし、その一方で、STEM教育や人材育成においてはいくつかの課題が明らかとなっています。その背景には、先進国の多くが高度なSTEM教育と産業界の緊密な連携を実現しているという事実があります。日本もロボティクスやAIといった先端技術分野で一定の存在感を示すものの、教育から職業への移行には改善が求められる状況です。
SThree Japanの代表取締役クリストファー・ライリー氏もこの点に触れ、日本はロボティクス、エンジニアリング、精密製造の分野で世界的にリーダーであることを強調しました。しかし、AIやデータサイエンス、自動化が進む中で、企業は人材育成に対する投資を強化する必要があると訴えています。このように、エンジニアリングの専門知識と最新のデジタル技術を融合させることで、日本は今後も競争力を維持できると期待されています。
今年のランキングでは、各国が独自の強みを持つことが際立っており、シンガポールはデジタル基盤の強さとSTEM教育の充実により、エンジニアリングとテクノロジーの分野で第1位にランクインしました。また、スイスは製薬・バイオ産業を中心にライフサイエンス分野での優位性を示し、北欧諸国も進歩的な教育制度のおかげで全カテゴリーで優れた成果を収めています。
こうしたSTEM先進国の共通点は、一貫した教育への投資としっかりした産業エコシステムです。対照的に、ランクが伸び悩む国々は人材育成やSTEM系卒業生の供給において不足が見られます。Cebrの報告書によれば、特に産業界が積極的に関与し、研究開発に投資する国では、教育指標に関わらず総合スコアが改善される傾向があるそうです。日本もその一例といえますが、今後の人材基盤を強化する必要があります。
具体的に、日本の強みとしてはロボティクス、AI、エンジニアリングが挙げられます。特に日本は、世界最大の産業用ロボット製造国であり、全体の45%を占めています。これは日本の高度な技術力と活発な研究開発がもたらした成果と言えるでしょう。さらに、政府および企業が行う研究開発への投資も西先進国の中でも突出しています。
しかし、弱点も存在します。それはSTEM専門の人材供給が他国に比べて強固でないという点です。特に日本の大学における女子生徒の工学などの専攻比率はわずか16%と低く、データによれば今後約79万人の技術者が不足する可能性があるとされています。また、若年層の減少による人手不足も深刻化しています。
これらの課題に対して、日本政府や産業界はSTEM教育の改善に取り組んでいます。文部科学省は小学校からのプログラミング教育の必修化を進め、論理的思考力を育てる取り組みを行っています。大学でも産学連携を強化し、学生が最新技術に触れながらスキルを向上させる機会を充実させています。企業も自社の研修でIT専門家を育てるための発表を行うなど、教育界との協力が広がっています。
STEM教育の強化こそが、今後の日本の競争力を保つために重要です。Cebrは特にロボティクスやAI分野における日本の優位性を評価しつつ、さらなる教育面での強化を促しています。この状況を受けて、日本がテクノロジー大国としての地位を維持するためには、教育と産業の架け橋を強固にしていくことが不可欠です。他国からも学ぶべき要点が多々あり、次世代のSTEM人材育成が急務となっています。競争力が増す国際舞台において、日本が求心力を持ち続けるための道筋を模索していく必要があります。
会社情報
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SThree株式会社
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