あだち ぐるぐるコーヒー プロジェクトの深層
東京都足立区で、新たなサーキュラーエコノミーを実現する「
あだち ぐるぐるコーヒー プロジェクト」が始まりました。これは、ユーエスフーズ株式会社と株式会社ソーイが連携し、廃棄されるコーヒーグラウンズを新しい資源として活用する取り組みです。これまで「ごみ」として廃棄されていたコーヒーの抽出かすを、発酵技術を用いて新たな食材に再生し、地域のコーヒー店や菓子店で商品として提供します。
プロジェクトの背景
近年、日本国内の人口減少と可処分所得の減少に伴い、嗜好品への支出が抑制され、特にコーヒー市場における消費も減少傾向にあります。一方で、世界的にはコーヒー需要が高まり、日本市場における調達コストが上昇することが予想されています。これにより、国内のコーヒーロースターや自家焙煎店は厳しい経営環境に直面しています。
ユーエスフーズは、コーヒー生豆を卸販売する事業を長年手がけ、関係先のロースターを支えることが企業存続のカギと考えていました。そこで、同社は消費者が自発的に来店したくなる仕組みを模索し、同時に廃棄コーヒーグラウンズの活用方法を探るために、株式会社ソーイとの出会いが大きなきっかけとなりました。
株式会社ソーイの発酵技術
株式会社ソーイは、江戸時代から受け継がれる約300年の発酵技術を活用し、「すべての命を余すところなく使う」という理念の下、循環型経済の構築を目指しています。彼らの開発した「
UP 0 TECH®(アップゼロテック)」技術により、コーヒーグラウンズを乾燥させることなくペースト化し、発酵させることが可能です。このことにより、ゼロウェイストとアップサイクルを同時に実現します。
「コーヒーは長いサプライチェーンを経て日本に届くにも関わらず、抽出液だけ飲んでかすは捨ててしまうことに疑問を持つ」。この思いから生まれたプロジェクトが、今まさに動き出しました。
コーヒーグラウンズのアップサイクルプロセス
このプロジェクトのポイントは、足立区内のコーヒーロースターから廃棄されるコーヒーグラウンズをユーエスフーズが回収し、これを株式会社ソーイの技術によって「発酵コーヒーペースト」として再生する点にあります。具体的なプロセスは以下の通りです。
1.
回収と買い取り: 消費者が自宅で出たコーヒーグラウンズを協力店舗に持参し、特典を受け取ります。ユーエスフーズはパートナー店舗からコーヒーグラウンズを買い取り、価値ある原料として再利用します。
2.
ペースト化: 買い取ったコーヒーグラウンズは、ソーイの技術でペーストに加工されます。
3.
新たな価値の創出: 完成したコーヒーペーストは、足立区内の菓子製造業者に販売され、新たな飲料やお菓子が開発されます。
プロジェクトの展望と今後の展開
このプロジェクトは、2025年内に協力店舗での新商品販売を目標としており、足立区主催のSDGsイベント「ぐるぐる博 in 来た!アヤセ 2025」で成果を発表する予定です。プロジェクトは常に進化していくもので、終了後にはさらなる協力企業を募集し、持続可能な循環型ビジネスを実現していく考えです。
この取り組みを通じて、地域における資源の循環が促され、同時に環境負荷の低減にも繋がることが期待されます。コーヒーを通じて新たな価値を創造し、未来の街づくりに貢献する「あだち ぐるぐるコーヒー プロジェクト」に、ぜひ注目してください。