Back MarketとiFixitが提携、持続可能なテクノロジーの未来を切り拓く
Back Market Japan株式会社は、修理情報や修理用パーツのデザイン・販売を行うiFixitとグローバルパートナーシップを結んだことを発表しました。この提携の背景には、観光や製品の短命化に伴う電子廃棄物の急増に対抗するための「Fast Tech」運動があります。現代では、スマートフォンやPCなどの電子機器が毎年のように新モデルに取って代わられ、まだ使用可能なデバイスが短期間で廃棄されている現状があります。
この「ファストテック」は、大量の電子廃棄物の発生を促進し、環境への影響を深刻にしています。2023年には、世界全体で推定5244万トンもの電子廃棄物が発生すると見込まれており、この数値は2050年までには倍増すると予測されています。しかし、米国が電子廃棄物の排出国として第2位、日本は第4位であるにもかかわらず、そのうちリサイクルされるのはわずか15%から20%にすぎません。
この問題に立ち向かうため、Back MarketとiFixitは再利用・修理・リファービッシュの「3R」を基にした取り組みを進めます。今回の提携により、Back Marketのマーケットプレイスには、iFixitの修理キットやチュートリアルが導入され、誰でも自分自身でデバイスを修理できる環境づくりが進められる予定です。さらに、iFixitのプラットフォームにもリファービッシュ品の選択肢が加わります。
日本では、一般消費者が自身でデバイスを分解・修理することが法律的に許可されていないため、修理キットが提供されにくい状況にあります。また、多くのメーカーではデバイスに関する部品やマニュアルのアクセスが制限されているため、修理の円滑な実施が妨げられることが多いのです。このような課題を解決するために、両社は消費者に対し、スマートフォンの使用年数を2〜3年から5年に引き上げることを呼びかけ、メーカーに対しても長期的なソフトウェアサポートの提供を促しています。
Back MarketのCEO、ティボー・ユグ・ド・ラローズ氏は、スマートフォンを5年間使用するのは特別なケースでなく、当然であるべきだと強調し、業界全体が短命化するデバイスサイクルではなく、持続的に使える技術の提供にシフトすべきだと述べています。一方、iFixitのCEOであるカイル・ウィーンズ氏も、電子機器の使い捨て文化を変える必要があるとし、リファービッシュ品を購入し、その後修理して使う文化を広めていくと語っています。
さらに、両社は「修理する権利(Right to Repair)」の推進にも取り組み、Back Marketの米国担当ゼネラルマネージャー、ローレン・ベントン氏がRepair.orgの理事に就任しました。この団体は、消費者が購入した製品を自身で修理できる権利を推進しています。
Back MarketとiFixitの提携は、電子機器のリサイクルやリファービッシュを促進するだけでなく、環境負荷を減少させるための大きなステップともなります。リファービッシュ品は新品と比較して資源の使用量や二酸化炭素の排出量を大幅に削減できるため、持続可能な社会の形づくりに貢献することが期待されます。この取り組みが成功すれば、消費者はより環境に配慮した選択をすることができるでしょう。
iFixitとBack Marketの背景
iFixitは、誰でも自身のデバイスを修理できる環境を提供するためのコミュニティで、数百万人の修理愛好者がデバイスの修理を支援しています。一方、Back Marketは2014年に設立され、リファービッシュ品を取り扱う世界最大級のマーケットプレイスとして、持続可能な技術の普及を目指しています。彼らの取り組みは、持続可能な未来の実現に向けた一歩となることでしょう。