世界最高水準の酸化グラフェン燃料電池が誕生
熊本大学の産業ナノマテリアル研究所に所属する畠山一翔助教と、伊田進太郎教授からなる研究グループが、酸化グラフェンを用いた新しい燃料電池の開発に成功しました。この新しい燃料電池は、固体電解質に酸化グラフェン膜を使用し、これまでの技術の限界を打破する性能を実現しています。
研究の背景と進展
これまで、酸化グラフェンは高いプロトン伝導性と優れた水素ガスバリア特性を持つ材料として脚光を浴びていましたが、その実用化に向けては性能向上が課題でした。これまでの研究では、最大で0.25 W cm−2の出力密度しか得られていませんでした。この問題を解決するため、研究チームは膜-電極界面の設計手法に注目し、新たなアプローチを開発しました。
この新手法により、酸化グラフェン膜と電極の界面抵抗を減少させることができ、なんと出力密度を0.7 W cm−2まで向上させることに成功しました。この数字は、同様の性能を持つナノシート系の固体電解質での最高値とされています。市販のフッ素系高分子膜と同等の出力を得られるというのは、環境への配慮と技術革新を果たした大きな成果と言えるでしょう。
環境に優しい燃料電池の未来
この燃料電池開発の特徴は、フッ素を使用せず、環境に優しいという点にあります。従来の燃料電池はフッ素系高分子膜が多く用いられていましたが、これには環境負荷の高い問題が伴いました。それに対して、酸化グラフェンを用いた燃料電池は、持続可能なエネルギー源としての期待が寄せられています。今後、様々な固体電解質にこの技術を適用することにより、一層の性能向上が図れると見込まれています。
研究成果の発表
この研究成果は、「Journal of Materials Chemistry A」に2026年1月6日にオンラインで発表され、科学コミュニティ内外から注目されています。同研究は、いくつかの機関の支援を受けて進められ、多くの期待が集まります。興味深いことに、ここで開発された界面設計手法は、他のナノシート膜や高分子膜にも応用可能であることが示されており、さらなる発展が期待されます。
植物由来や再生可能資源からのエネルギー技術としても位置づけられるかもしれない新しい燃料電池技術。環境に優しいエネルギー源としての役割を果たす可能性も秘めており、その動向から目が離せません。未来のエネルギー社会に向け、果たしてどのような展開が待っているのでしょうか。