ケミカルリサイクルでプラスチックの未来を変える
2023年10月、キリンホールディングス株式会社をはじめとする9社の業界連携が発表されました。この取り組みでは、飲料用ペットボトルから非食品用途のPETを原料とするケミカルリサイクル(CR)へと拡大することを目指しています。
提案されたこのプロジェクトは、これまでのリサイクル方法では十分なプラスチック資源の循環を達成できなかったという課題に対応するものです。具体的には、使用済みの飲料用ペットボトルに加え、工業用フィルムや化粧品ボトル、自動販売機用のサンプル商品などがCRの原料として利用されます。
業界を超えた協力
このプロジェクトには、キリン、JEPLAN、TDK、村田製作所、花王、ファンケル、キリンビバレッジ、ペットリファインテクノロジー、アサヒ飲料の9社が協力しています。特に注目すべきは、工業用PETフィルムのリサイクルです。TDKと村田製作所は、電子部品製造時に出た端材を供給し、花王とファンケルは使用済み化粧品ボトルを回収し提供します。キリンビバレッジは商品入れ替え時に不要となった自動販売機用の商品サンプルを供給します。
このように、様々な業界がお互いに連携することで、リサイクル原料を確保しながら持続可能な資源循環の実現を目指しています。
安全性と品質評価の強化
この新たな取り組みでは、JEPLANが有するPET樹脂に関するCR技術の安全性や分析方法も重点的に提案され、キリンのパッケージイノベーション研究所が協力しています。このコラボレーションにより、再生PET樹脂の品質評価や、食品用容器としての安全性評価が進められ、各社での採用検証が行われます。
5月から花王が、4月からキリンビバレッジがそれぞれの製品にこの新たな原料を使用し、10月以降にはアサヒ飲料も導入を予定しています。全体の流れの中で、ファンケルも採用に向けた範囲を検討しています。
今後の展望
今回のプロジェクトは、企業間の協力を通じて、地球環境への貢献を強化していくことを目指します。使用済みプラスチックの有効活用と温室効果ガス(GHG)排出の削減に向け、今後も各社が一体となって取り組むことが求められます。
このケミカルリサイクルのプロジェクトは、持続可能な未来を築くための新たな一歩と言えるでしょう。私たちの生活に欠かせないペットボトルのリサイクルが、これからの環境意識を高め、より良い未来へとつながることを期待しています。