NISA制度改革に向けた有識者会議が合意した新たな投資手法
金融庁が主催する「NISAに関する有識者会議」の第2回が、令和7年4月22日に開催されました。この会議では、つみたて投資枠における対象株式指数の考え方と、市況急変時の対応に関する多岐にわたる議論が行われ、特に投資初心者を対象とした長期・積立・分散投資の重要性が強調されました。
会議では、まずつみたて投資枠に適用される株式指数の算出とその公表が長期投資の実現には不可欠であることが確認されました。特に、指数プロバイダーのガバナンスや算出方法の透明性、構成銘柄の選定基準が利用者にとってわかりやすいことが重要視されました。また、運用会社が引き続き利用できる指数であることや、使用料の過度な引き上げがないか等も考慮されるべきとの意見が出ました。
対象指数には、「マーケット全体を広くカバー」することが求められており、この「マーケット」が何を指すのかについては、更に議論が必要です。特に、初心者にとっての値動きの理解のしやすさが重視され、市場の変動に流されない投資スタイルが期待されています。
次に、特定セクターに対する偏重については、経済全体の構造変化によって生じるものであり、これを問題視するのは適切ではないとの意見がありました。一方で、少数の銘柄が影響を与える場合には注意が必要です。また、「市場関係者に広く浸透している」指数が求められることについては、機関投資家等が使用する指数でなければ一般投資家には受け入れられにくいとの指摘があり、この点を踏まえた議論が必要です。
さらに、対象指数の追加については、投資選択肢の多様化や健全な競争の促進に寄与する意見がありました。この際には、初心者向けであることを考慮し、新たな投資機会の提供とのバランスを保つ必要があります。ESG要素を含む新興指数などの導入可能性も話題にのぼりましたが、利便性の高い指数が導入されても資金流入がない限り、指数間の競争は生まれない点にも留意が求められました。
市況急変時の対応も重要な議題として挙げられました。最近の市場の低迷では、投資家の行動が冷静であったという評価がなされ、長期・積立・分散投資の考えが浸透していることが感じられました。今後、市場が殆ど低迷した場合に個人投資家に向けてどういったメッセージを発信していくかが課題となります。しかし株式市場は実物経済の反映であるため、経済全体の動きを前提に、適切な対応を考慮する必要があります。
以上の議論を通じて、金融庁はつみたて投資枠を使って投資初心者が安心して投資を開始できるよう、制度のバランスを保ちながら長期・積立・分散投資を推進していく方針を示しました。今後の制度の進化に期待が寄せられています。