発達障害高校生への就労支援新プログラム
東京都では、発達障害を持つ高校生に対する就労支援を一層強化するため、2025年度から『働くチャレンジプログラム』の導入を発表しました。このプログラムは、障がい者雇用支援に特化した株式会社綜合キャリアトラストが主導しており、東京都教育委員会との連携が図られています。
プログラムの目的と内容
本プログラムの主な目的は、発達障害のある高校生が持つ「強み」を認識し、必要なソフトスキルを身に付けることにあります。特に日常生活や対人関係、コミュニケーションスキルを強化するための支援を行います。具体的には、以下のような流れでプログラムが進められます。
1.
アセスメントの実施
生徒の特性を正しく理解するために、本人との面談や在籍校へのヒアリングを実施し、個別の成長プランを作成します。
2.
事前学習の実施
生徒の特徴に応じたスキル習得を目指し、インターンシップ前の準備学習を行います。
3.
インターンシップの実施
各生徒が希望する分野での企業でインターンシップを体験します。
4.
事後学習の実施
インターンシップ後に、前半の学びを振り返り、不足しているスキルの再指導を実施します。
5.
学校へのフィードバックの実施
成果について報告を行い、教職員との意見交換を通じてさらに支援を深めます。
このプログラムによって、卒業後にスムーズに社会参加できる力を培うことを目指します。
VR技術を活用したトレーニング
今年度から新たに導入されるのが、大塚製薬の提供するVR技術を使ったトレーニングプログラム『FACEDUO(フェイスデュオ)』です。このプログラムでは、実際の職場シーンを仮想体験することにより、自分が苦手と感じる場面や得意な場面を見つけることができます。
例えば、「上司に質問をする」というシチュエーションでは、当事者や第三者の視点を体験することが可能です。この経験を通じて自分のコミュニケーションスタイルを理解し、対話を重ねることで解決策を見つけ出す力を育むことが期待されています。
プログラムの流れは次の通りです。まず、実際のシーンで必要なスキルを体験し、次にVRトレーナーと機能的な対話を行うことで効果的な対応方法を発見します。最後に、自ら見つけた工夫を活かしてロールプレイを行うことで、実践力を高めます。
また、VR体験後には参加者同士の話し合いが行われ、他者からのフィードバックも受けられます。これにより、コミュニケーションスキルの理解が深まり、学習効果が高まります。
プログラムのスケジュール
約3か月間のプログラムが計画されており、以下のようなスケジュールで進行する予定です。
- - 初回面談:5月下旬
- - カリキュラム開始:ビジネスマナー講座や実践練習を含むカリキュラムを6月に実施
- - インターンシップ:希望職種の企業での体験を行うのは6月下旬から8月中旬まで
- - 振り返りとディスカッション:インターンシフト後に行います。
このように多様な学びを通じて、発達障害を持つ高校生が将来の働く準備を進めるための実践的な支援が展開されます。これにより、彼らが自信を持って社会に参加できるよう、根気強いサポートが期待されています。
まとめ
東京都の新しい就労支援プログラムは、発達障害のある高校生が自らの強みを活かし、社会で活躍できるようになることを目指しています。今後もこの取り組みを通じて、より多くの若者が自信を持って就職活動に取り組める環境を整えていくことが期待されます。