2024年度旅館・ホテル業界、過去最高の市場規模を実現へ

2024年度の旅館・ホテル市場、過去最高へ

2024年度の国内旅館・ホテル業界は、事業者売上高が5.5兆円に達し、過去最高を記録すると見込まれています。これは、コロナ禍による厳しい時期を経て、再び活況を呈することを示しています。在宅勤務や行動制限の解除に伴い、訪日外国人観光客の増加と国内旅行支援策が追い風となったことが主な要因です。

株式会社帝国データバンクの調査によると、3500社を超える旅館・ホテルの約33.8%が前年に比べ増収を記録しました。特に、訪日外国人の需要の回復は顕著で、これは2024年度の旅館・ホテルにとって大きな追い風です。北陸地方においては一部地域が地震の影響を受けたものの、円安を背景に訪日客の需要が増し、宿泊料金の値上げが進むなど、広範な業種で良好な業績が報告されています。

地域別の業績動向

都道府県別に見ると、最も高い増収率を誇るのは和歌山県の56%でした。福岡県や長崎県も増収割合がそれぞれ50%、44.7%という好調さを見せており、九州地方全体で高い水準が確認されています。これらのエリアでは、アジアを中心とした訪日観光客が多く、都心部からの出張需要も取り込んでいます。これに伴い、宿泊施設の稼働率の回復が促進され、業績を押し上げています。

課題と展望

ただし、2024年度においても懸念材料が存在します。増収率はコロナ禍以降初めて低下し、減収を記録した企業もあり、これは人手不足が影響しています。清掃スタッフなどの人手が不足する中、エネルギーや食材費、リネンサプライのコストが上昇し、利益面での課題も多くの企業に影響を及ぼしています。

今後の展望としては、観光需要の回復が続く中で、労働力不足の影響が2025年度により顕在化する可能性があることです。旅館・ホテル業界の人手不足は正規・非正規を問わず過半数を超えており、フロント業務や調理スタッフの確保が難しくなっています。この問題に対して、外国人材の採用やデジタル化、省人化を進めることが求められています。業界全体がこの課題にどう対処するかが将来的な成功を左右するでしょう。

国内旅行需要の回復と国際観光の動向

全体としては、旅行需要の回復が見込まれ、特に高価格帯の宿泊施設には厳しい競争が待ち受けています。経済環境の厳しさや消費者の節約志向が影響し、業界がどのように変化に適応していくかが重要です。しかし、増加する訪日客による需要や国内旅行支援策によって、旅館・ホテル業界全体の成長が期待されています。2025年度にはさらなる市場拡大も見込まれ、持続的な成長を支える体制づくりが必要とされます。