東京水道、2024年度の業績と施策を発表
東京水道株式会社は、2024年度の決算結果を公表しました。売上高は298億円、当期純利益は8.9億円となっています。前年に比べて当期純利益は減少していますが、これは昨今の人材採用難に対応した企業努力の一環として、従業員の待遇向上にお金をかけたためです。これまでの経営効率化の取り組みにより、2021年度、2022年度からは継続して利益を増やしてきた実績があります。
2024年度の主な取り組み
近年、水道事業は人口減少による需要の減少、老朽化したインフラの更新や耐震化の遅れ、労働力不足、さらには物価や人件費の高騰といった多くの課題に直面しています。また、東京都からの業務移転拡大も見据え、厳しい事業環境の中で安定した水の供給を続けるために、さらなる人材確保や技術継承に努める必要があります。
特に、施工業者や技術職の労働者が不足している状況にあり、安定した採用が最も重要なテーマとなっています。そこで、東京水道では、採用策の見直しを行い、給与を大幅に上げたり技術職の社員住宅の年齢制限を延長したりしています。これにより、より多くの応募者を引き寄せようとしています。
福利厚生の充実
社員の待遇面では、奨学金返還支援制度の拡充も行われています。技術職に限定していた支援を拡大し、他の職種にも対象を広げました。さらに、コールセンターのスタッフの雇用形態についても、希望者には正社員への転換を可能とすることで、働きやすい環境を整えています。
また、学校への訪問活動を強化し、幹部社員が教育機関との意見交換を定期的に行っています。その際には卒業生をリクルーターにして同行し、実際の経験を基に会社の魅力を伝えることで、若い世代に対する会社のイメージ向上にも注力しています。
結果としての数字
これらの施策の成果は数字に現れています。今年度の応募者数は393人となり、前年の207人と比べて約90%の増加を記録しました。さらに、新入社員も150名が入社し、前年比で137.6%の成長を遂げています。過去3年間の新入社員数を見ても、着実に増加傾向が続いており、若手人材の採用が進んでいることが伺えます。
さらに、定年退職を除く離職率は2.9%と、昨年度の4.5%、一昨年度の4.4%から大きく改善され、全産業の平均離職率の12.1%と比べてもかなり低い数字です。
今後の展望
今後も東京水道では、経営の効率化を進めながら、社員の処遇改善や採用活動の強化に努めていく方針です。東京都の水道業務を支える重要な役割を果たすため、一層の努力が期待されています。
会社概要
東京水道株式会社
- - 本社:東京都新宿区西新宿六丁目5番1号 新宿アイランドタワー37階
- - 設立:2004年4月
- - 代表取締役社長:野田 数
この会社は、東京都の水道業務を中心とした統合企業であり、「水源から蛇口まで」の包括的な管理運営を行っています。2020年に水道業務を担当する二社が統合し、東京水道株式会社が誕生しました。これにより、日本最大級の水道トータルサービス会社として、都民に安心な水を届ける使命を果たしています。