生物学者・小林武彦教授へのインタビュー
東京大学の定量生命科学研究所で教授を務める小林武彦さんが、TBSラジオの番組『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』に登場しました。特に興味深い話として、彼が生物の「死」やヒトの「老い」について語った内容に迫ります。
生物の「死」の意味
小林教授は、彼の著書『生物はなぜ死ぬのか』について話を始めました。この本は広く読まれ、20万部を超えるベストセラーとなりました。彼は、38億年前に生命が誕生して以降、さまざまな進化の過程でどうして「死」が重要な選択の一部として存在するのかを論じています。
「死」は単なる終わりではなく、種の進化や適応に大きな影響を与える重要な現象であると彼は考えています。生物の世界には、選択が生じることにより、最適な適応がなされるという厳しい現実が存在します。これに対する考察は、古代から続く問いでもあり、今なお真剣な探求が求められています。
死ぬ理由
生物が死ぬ理由に関して、小林教授は特に「遺伝」という概念に焦点を当てました。遺伝子は次世代に受け継がれることで生き続けるため、個体の死は必ずしも終わりとは限らないのです。この視点から、「死」は自然のサイクルにおいて必然的な出来事であり、他の生命に対する寄与や影響も持っています。
ヒトだけが老いる理由
二夜目の放送では、ヒトの老化について掘り下げました。小林教授が著した『なぜヒトだけが老いるのか』という書籍にも触れながら、なぜ動物界の他の生物とは違い、ヒトだけが長い老後を持つのかについて考えを述べました。
彼は「人生100年時代」と言われる現代において、老化が人間に特有のものである理由を解説。野生動物は通常、若い時に繁殖し、短命であるため、老後という概念が存在しません。そのため、老化はヒトに特有の社会的および生物学的現象であると言えます。
高齢者の重要性
小林教授は、現代社会において高齢者が存在する重要性も強調しました。長寿を享受することで、体験や知識を持つ世代が次の世代に影響を与えることで、社会全体が成長する可能性が広がります。ヒトが老いることの意味は、単なる衰えではなく、次世代への架け橋と考えるべきだと語りました。
総括
小林武彦教授の話を通じて、私たちの「死」や「老い」に対する理解が深まると共に、それらが生物学的にどのように位置づけられるかをじっくり考えさせられる内容でした。9月8日、15日の放送をぜひお聞き取りの上、深い生物学の世界を体感してください。
最後に、番組『嶌信彦 人生百景「志の人たち」』は、毎週日曜日の21時30分から22時に放送されており、さまざまな分野で生き生きと志を持った方々の話を聞くことが出来ます。興味のある方はぜひチェックしてみてください。