ライオンと雪印、容器循環
2025-05-29 18:43:46

業界の垣根を越えた挑戦!ライオンと雪印メグミルクが描く、食品容器から日用品への革新的なプラスチック資源循環モデル

業界の壁を打ち破るサステナブルな連携:ライオンと雪印メグミルクが拓く「容器から容器へ」の循環モデル



現代社会が直面する喫緊の課題の一つ、それがプラスチックごみ問題です。過剰なプラスチックの使用と不適切な廃棄は、地球環境に深刻な影響を与え続けています。そんな中、日用品業界のリーディングカンパニーであるライオン株式会社と、長年にわたり食卓を支えてきた雪印メグミルク株式会社が、この課題に真正面から挑む画期的な共同プロジェクトを発表しました。

業界の常識を覆す新たな挑戦



このプロジェクトの核となるのは、「容器から容器へ」という革新的なプラスチック資源循環モデルです。具体的には、雪印メグミルクが提供する宅配サービスで利用される「びん商品」のキャップを回収し、その再生プラスチックをライオンの日用品容器として再活用するという、これまでにない試みです。両社はすでに連携を開始しており、2026年の商品化を目指しています。食品業界と日用品業界という、これまで別々の道を歩んできた二つの分野が手を取り合うことで、持続可能な社会の実現に向けた新たな一歩が踏み出されました。

なぜ今、この連携が必要なのか?



企業には今、製品のライフサイクル全体にわたって責任を負うことが強く求められています。特にプラスチックに関しては、「適正な利用」「確実な回収」「効率的な再生」「効果的な再利用」という一連のプロセスが不可欠です。

私たちが日々消費する包装用プラスチックのうち、実に約55%が食品包装に関連すると言われています。これまでの食品包装のリサイクルは、主に同種製品や全く異なる用途への再利用に留まることが少なくありませんでした。しかし、今回のプロジェクトでは、食品包装が日用品という全く異なる製品のライフサイクルへと組み込まれることで、その環境貢献度は飛躍的に高まると期待されます。ライオンと雪印メグミルクは、企業としての社会的責任を果たすべく、この共通の課題に対して共同で取り組むことを決断したのです。

両社のサステナビリティ戦略と連携のシナジー



雪印メグミルクの長年の取り組みと新たな可能性



雪印メグミルクは、宅配サービスにおいて「びん容器」を顧客から回収し、工場で丁寧に洗浄して繰り返し使用するという、サステナブルな取り組みを以前から実践してきました。びんのキャップも同時に回収され、これまでは植木鉢やゴミ箱の材料として再資源化されていました。しかし、同社はキャップのリサイクルにはさらなる可能性が秘められていると考え、より高度なリサイクル方法の開発を模索していました。

ライオンの環境目標と良質な再生プラスチックへの渇望



一方、ライオンは長期環境目標「LION Eco Challenge 2050」の中で、2030年までに石油由来プラスチックの使用率を70%以下に削減するという野心的な目標を掲げています。この達成には、再生プラスチックを活用した日用品容器の開発が不可欠です。しかし、ライオンの厳しい品質基準を満たす良質な再生プラスチックを日用品業界内だけで安定的に確保することは困難でした。そこで、雪印メグミルクとの業界を超えた連携が、この課題を解決する鍵となったのです。食品容器としての利用を終えたプラスチックを日用品容器へと再生する、まさに「容器から容器へのリサイクル」の実現へと道が開かれました。

回収から再生へ:緻密な循環プロセス



この画期的なプロジェクトは、以下の緻密なプロセスによって支えられています。

【回収プロセス:雪印メグミルク】



1. お客様からの返却: 宅配されたびん商品は、お客様によって軽く水洗いされ、空びんとキャップが一緒に雪印メグミルクの販売店に返却されます。
2. 分別と一次処理: 回収された空びんは工場で洗浄・再利用されます。キャップは日用品容器の原料となるため、びんとは別工程で処理されます。
3. 破砕と洗浄: キャップは輸送効率を高めるため、まず破砕されます。その後、水洗いされて衛生的に処理され、専用の包装に充填されます。

【再生プロセス:ライオン】



1. ペレット化: 雪印メグミルクから提供された破砕済みのキャップは、再生プラスチックの基本的な形であるペレット(粒状)に加工されます。
2. フィルム成形とラミネート加工: ペレットは薄いフィルムに成形され、複数のフィルムと貼り合わせるラミネート加工が施されます。
3. つめかえパックへの製品化: 最終的に、加工された材料は袋状のつめかえパックとして仕上げられます。再生プラスチックの割合を多くすると品質が低下するリスクがあるため、ライオンは自社の容器包装設計技術力と、容器包装材料メーカーの素材開発力を結集し、量と品質の最適なバランスを追求しています。

持続可能な未来への貢献



ライオンは、新中期経営計画「Vision2030 2nd STAGE」において、「プラスチックを無駄にしない習慣づくり」を重点施策の一つに掲げています。お客様と共に「エコの習慣化」を推進し、無理なくサステナブルな暮らしを実現する「地球にやさしいライフスタイル」の提供を目指しています。

一方、雪印メグミルクは、「健土健民」という存在意義・志のもと、「人と自然が健やかにめぐる食の未来を育む」というステートメントを掲げています。創業100周年となる2025年を新たな始まりと捉え、環境負荷の低減を重要課題として、学校給食用牛乳のストローレス容器導入や海洋プラスチック配合パレットの採用など、積極的な取り組みを進めています。

今回の両社の連携は、まさにこうした個々の企業のサステナビリティ戦略が、業界を超えた協業によって新たな価値を生み出す好例と言えるでしょう。一社だけでは解決が難しい課題に対し、それぞれの強みを持ち寄ることで、資源循環型社会の実現に向けた大きな推進力となります。この取り組みは、単なるリサイクルに留まらず、消費者、企業、そして地球が一体となって「無駄をなくし、循環させる」という新しい習慣を築くための、重要な道筋を示すものとなるはずです。

期待される社会への波及効果



ライオンと雪印メグミルクのこの共同プロジェクトは、他の企業にも大きな示唆を与えるでしょう。異なる業界間の連携が、これまでのリサイクルの常識を覆し、より効率的で環境負荷の低い循環システムを構築できることを証明しています。この成功事例が広がることで、日本全体のプラスチック資源循環が加速し、持続可能な社会への貢献がさらに進むことが期待されます。私たちは、この画期的な取り組みが描く未来に、大きな希望を抱かずにはいられません。


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会社情報

会社名
雪印メグミルク
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電話番号

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