長崎の漁場モニタリング実証実験が描く持続可能な漁業の未来
長崎県五島市で、株式会社MizLinxと株式会社LAplust、公益財団法人ながさき地域政策研究所、NTTドコモビジネス株式会社が共同で進めた漁場モニタリングに関する実証実験が成功を収めました。これにより、水産業務の効率化と持続可能な漁業の実現に向けた新たな一歩が踏み出されました。
背景と課題
五島市の漁業は、信号が不安定な地域で行われており、定置網内の魚の様子を把握するには常に現場に向かう必要がありました。また、海藻を食べる植食動物、特にガンガゼの影響で藻場は年々減少し、漁業への影響が懸念されています。これらの問題から、迅速かつ効率的に現場を監視できる方法が求められてきました。本実証実験は、そうした課題を解決することを目的としています。
実証実験の内容
本実証実験では、以下の主要な活動が行われました。
1. リアルタイムモニタリングシステムの導入
「Wi-Fi HaLow」を利用して、水中の映像をリアルタイムでモニタリングすることが可能になりました。MizLinxが開発した中継専用ブイにより、陸から1.5km離れた場所でも安定した通信が実現しました。これにより、漁業者は陸上から状況を把握し、効率よく出漁の判断ができるようになりました。緊急時には迅速に情報を共有できるメリットも大きいです。
2. 画像認識AIによる異常検知
養殖生簀周辺に設置された監視カメラが撮影する映像を、LAplustが開発したAI「LA-Eye」が解析し、魚の死や生簀周辺の異常を自動的に検知することが可能になりました。この技術により、漁業者は早期の対策が取れるようになり、コストおよび労力を大幅に削減できます。
3. 自律型水上ロボットによる生息調査
自律型水上ロボットを利用したガンガゼの生息調査では、従来の手法では1週間かかる範囲をわずか2日で完了することが可能となりました。このロボットを使えば、より広範囲な調査が短時間で行えるため、ガンガゼ駆除活動に専念することができ、結果として漁業活動の効率を向上させることが期待されています。
各社の役割
本実証実験には、連携する企業と団体それぞれが役割を担っており、MizLinxが実証と「MizLinx Monitor」の開発を担当し、LAplustは画像認識AIの提供を行いました。また、ながさき地域政策研究所は課題整理を支援し、NTTドコモビジネスが通信環境の構築を担当しました。
今後の展望
今後は、実証実験で得られた成果を基に「MizLinx Monitor」の量産化を進め、全国規模での展開を考えています。特に、漁業の人手不足や磯焼けの問題を抱える地域に対して新しい技術を提供し、持続可能な漁業の実現に寄与することを目指しています。こうした取り組みが、永続的な海の恵みを維持するために必要な未来のシナリオを実現する鍵となるでしょう。
このように、長崎・五島市での実証実験は、漁業分野における新しい革命の兆しを示しており、これからの展開に注目が集まります。